知るほど面白い!車のエンブレムに隠された驚きの由来と意味
街を走る車を見ていると、フロントグリルに輝くさまざまなエンブレムが目に留まります。メルセデス・ベンツの三つ星、BMWの青と白の円、トヨタの三つの楕円。これらのエンブレムは単なる装飾ではありません。それぞれのマークには、メーカーの歴史や理念、創業者の想いが深く込められているのです。
このブログでは、国内外の自動車メーカーのエンブレムに秘められた意味や由来を、読者の皆さまの目線で詳しく解説していきます。知られざるエピソードや歴史的背景を知ることで、普段何気なく見ている車たちへの見方がきっと変わるはずです。
この記事で分かること
この記事を読むことで、以下の内容を詳しく知ることができます。
- 日本を代表する全国産車メーカー(トヨタ、レクサス、日産、ホンダ、マツダ、スバル、スズキ、三菱、ダイハツ、いすゞ、日野、光岡)のエンブレムの意味と由来
- ドイツ御三家(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)のエンブレムに込められた思想
- イタリアのスーパーカーブランドのエンブレムに隠された驚きの物語
- なぜフェラーリとポルシェのエンブレムには同じ「馬」が使われているのか
- エンブレムデザインに込められた各メーカーの理念や創業者の想い
それでは、車のエンブレムが語る深い物語の世界へご案内しましょう。
- 知るほど面白い!車のエンブレムに隠された驚きの由来と意味
国産車メーカーのエンブレムに込められた想い
まずは私たちにとって最も身近な日本の自動車メーカーのエンブレムから見ていきましょう。日本のメーカーは、創業者の名前や企業理念を巧みにデザインに落とし込んでいます。

トヨタ自動車:三つの楕円が示す「つながり」の哲学
トヨタのエンブレムは1989年10月、会社創立50周年を記念して発表されたもので、企画から約5年の歳月をかけてデザインされました。三つの楕円を左右対称に組み合わせたこのマークには、深い意味が込められています。
横長と縦長の楕円がそれぞれ、車のユーザー(お客様の心)と車のメーカー(トヨタの心)を示しており、一番大きな楕円はふたつの心をつなぐ世界を表現しています。さらに、このデザインはトヨタの頭文字「T」やステアリングホイール(ハンドル)の形も表現しているという、複数の意味を持つ緻密な設計となっています。
レクサス:高級と最先端技術の融合
レクサスは1989年に北米で誕生したトヨタの高級車ブランドで、2005年から日本でも展開されています。エンブレムは頭文字の「L」をモチーフにデザインされたシンプルながら洗練されたデザインです。
ブランド名の由来については「ラグジュアリー」と「最先端テクノロジー」を表す造語とされています。一説にはドイツ語の「Luxus(贅沢)」からの造語という説もあります。横楕円に包まれた「L」の字は、高級車としての品格と現代性を見事に表現しています。
日産自動車:太陽を貫く強い信念
日産のエンブレムのデザインは、日産の前身である「ダットサン」が使っていたものです。その歴史は古く、1914年設立の日本初の自動車メーカー「快進社」まで遡ります。
快進社が作った車は、支援者3人の頭文字を取った「DAT」と「逃げる兎=脱兎」をかけて「脱兎号」と名付けられました。その後開発された小型車は「ダットソン(息子)」と命名されましたが、「ソン」が「損」に感じられることから、「ダットサン(太陽)」になったという興味深い逸話が残っています。
2020年7月、日産のエンブレムが新デザインに移行されました。旧エンブレムは、創業者の鮎川義介が残した「至誠天日を貫く」という言葉、つまり「強い信念は太陽さえも貫く」という意味をイメージしたものでした。

ホンダ:創業者の三味線が隠れている?
「HONDA」のエンブレムは、頭文字「H」をモチーフにしたシンプルながら印象的なデザインです。わずかに斜めに傾けられた「H」が独特の動的な印象を与えます。
創業者・本田宗一郎氏が好んでいた楽器「三味線」の形状がこの斜めの配置に関係しているという説は、ホンダファンの間でよく知られています。ホンダは、自転車用の補助エンジンから始まり、その技術と革新の精神で車やオートバイの分野において世界的な成長を遂げたメーカーです。

マツダ:ゾロアスター教の神様から名付けられた
「フライングM」と呼ばれるマツダのエンブレムは、実質の創業者である松田重次郎の「M」、そしてゾロアスター教の最高神アフラマズダー(Ahura Mazdā)からきています。叡智と理性、調和の神であるアフラマズダーから、これからの自動車産業が明るくなるようにという願いが込められています。
1997年に制定されたエンブレムは「自らをたゆまず革新し続けることによって、力強く、留まることなく発展していく」という決意を未来に向けて羽ばたくMAZDAの形にしたものです。2025年には28年ぶりとなる新エンブレムが公開され、フラットデザインを採用しています。

スバル:星空の下で6社が一つに
スバルのエンブレムは、おうし座の「プレアデス星団」を表しています。この星団は日本では「昴(すばる)」と呼ばれ、6つの星が集まって輝いています。
このエンブレムには、スバルの前身である富士重工業が、戦後に6つの会社が合併して誕生したという歴史が反映されています。6つの星が一つの星団として輝くように、6社が統合して一つの強力な企業となったことを象徴しているのです。
スズキ:日本刀の切っ先のような鋭さ
スズキのエンブレムは東京芸術大学の学生がデザインしたもので、約300点もの候補の中から選ばれました。創業者である鈴木道雄氏の頭文字「S」をモチーフにデザインされており、1958年から使われ続けています。
2003年から使用されている現行エンブレムのデザインコンセプトは日本刀で、立体的な峰を与えられたマークが日本刀の切っ先を思わせる鋭利なイメージを表現しています。「未来を切り開く強い意志」を示しているのです。
三菱自動車:家紋が示す歴史の重み
三菱自動車のスリーダイヤは、三菱グループ全体で使用されている象徴的なマークです。明治3年(1870年)に作られた九十九商会という海運会社が使っていた船旗にルーツがあります。
このデザインは、三菱創業者の岩崎弥太郎の家紋「三階菱」と、弥太郎の生まれである土佐藩山内家の家紋「三ツ柏」を組み合わせたものです。1910年に現在の形が定められ、三菱グループすべてで使用されています。創業当初30度程度だった先端の角度が、現在は60度に増大しており、「柏を菱で置きかえるのだ」という弥太郎の事業への気迫が込められているとも言われています。

ダイハツ:大阪発動機の略称がそのまま社名に
ダイハツは「大阪にある発動機製造会社」(大阪の「大」と発動機の「発」)の略称として親しまれていたことが起源とされています。1907年に創立された国内で最も長い歴史を誇る自動車メーカーです。
エンブレムは頭文字のDをモチーフにデザインされています。興味深いことに、エンブレムの「D」を囲む円は車種によってサイズが異なっており、これはトヨタへOEM供給する際にトヨタマークと台座を共有するための工夫だそうです。
いすゞ:12のさざなみが示す普遍性
いすゞ自動車の社名は、伊勢神宮の境内に沿って流れる五十鈴川に由来しています。現在のエンブレムは「ISUZU」の文字をシンプルでモダンにデザインしたワードマークです。
1934年から1974年まで使用されていた旧エンブレムは、「いすゞ」の文字を12のさざなみで囲っていました。さざなみの数を12にしたのは、干支をはじめとして、広く基本的な数字とされているためです。現在のエンブレムは「世界中のお客様に、心から満足していただける商品とサービスを創造し、社会に貢献する」という企業理念を表現しています。

日野自動車:日の出のように未来へ
トラックやバスなどの商用車を生産する日野自動車のエンブレムは、「HINO」の「H」を象徴し、未来に向けて挑戦し続ける日野自動車の活力と発展性を表現したものです。
地平線から昇る太陽、日の出というイメージを持っており、企業カラーの赤色は太陽の炎をテーマに全従業員の「情熱と前進」を表しています。トヨタグループの一員として、商用車分野で重要な役割を担っています。
光岡自動車:車の原点を忘れない象形文字
1979年に設立された光岡自動車は、富山県富山市に本社を置く日本の自動車メーカーです。光岡自動車のエンブレムは「車」を意味する紀元前800年頃の象形文字がベースで、「いつまでもルーツを忘れない」という意味が込められています。
日本メーカー製の乗用車の外観や内装を取り替えた改造車を自社工場で生産しており、独創的な車を販売していることで注目されています。他のメーカーとは一線を画す独創的なアプローチを取る光岡自動車らしい、原点を大切にする姿勢が感じられるエンブレムです。
ドイツ御三家のエンブレムが語る深い歴史
メルセデス・ベンツ:陸・海・空を制覇する三つ星
メルセデス・ベンツのエンブレムには「スリーポインテッド・スター」という名前があります。3方向に伸びるマークは「陸・海・空」を指し示しており、それぞれの世界でのモビリティーの発展を意味しています。
1926年、ダイムラー社とベンツ社が合併してダイムラー・ベンツAGが誕生しました。この合併に伴い、DMGの三つ又の星とベンツ社の月桂樹を組み合わせたデザインがブランドの象徴となりました。

BMW:バイエルン州旗か、それとも青空とプロペラか
BMWのエンブレムについては、長年二つの説が語られてきました。30年ほど前はミュンヘンの青い空と白い雲にプロペラが回っている様子だと言われていましたが、最近では青と白はバイエルン州の州旗からイメージしたものという公式見解になりました。
BMWは「Bayerische Motoren Werke(バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ)」の略で、日本語に訳すと「バイエルン地方のエンジン工場」という意味です。バイエルン州の地元企業であることへの誇りが、エンブレムのデザインに反映されています。

アウディ:四つの輪が示す団結の力
アウディのエンブレムは「フォーシルバーリングス」と呼ばれ、4つのリングが連なっています。1932年、アウディ、ホルヒ、DKW、ヴァンダラーという4社が集まってアウトウニオンを設立した際に採用されました。
興味深いことに、ホルヒとアウディは同じアウグスト・ホルヒという人物が設立した会社です。「ホルヒ」は「聞く」を意味するドイツ語で、「アウディ」は同じ意味を持つラテン語なのです。
イタリアのスーパーカーブランドに秘められたドラマ
フェラーリとポルシェ:同じ「跳ね馬」の意外な共通点
フェラーリとポルシェの跳ね馬は、いずれも起源はドイツのシュトゥットガルト市の紋章なのです。1923年、エンツォ・フェラーリはイタリアの英雄パイロット、フランチェスコ・バラッカの母親から跳ね馬のマークを譲り受けました。
バラッカが第一次世界大戦中、撃墜したドイツ軍パイロットの戦闘機に描かれていたシュトゥットガルト市の紋章を自機に張り付けていたのが始まりでした。イタリアとドイツのスーパースポーツカーのライバル同士のエンブレムが同じルーツを持つという事実は、非常に興味深いものです。
ランボルギーニ:おうし座の誇りと情熱
ランボルギーニのエンブレムは荒々しい闘牛をモチーフにしています。創業者のフェルッチオ・ランボルギーニがおうし座であることから、この闘牛のデザインを採用したとされる説が有力です。
興味深いことに、ランボルギーニの車種名の多くは闘牛に関連しています。ミウラ、ウラカン、ムルシエラゴなど、これらはすべて有名な闘牛の名前から取られています。
エンブレムが語るメーカーの理念と未来
自動車メーカーのエンブレムは、単なる識別マークではありません。それぞれのエンブレムには、創業者の想いや企業の理念、歴史的な背景が深く刻み込まれています。
多くのメーカーが時代とともにエンブレムをリニューアルしながらも、その根底にある理念は変わらず守り続けています。近年では電気自動車の普及に伴い、新興メーカーも独自のアイデンティティを確立しています。
エンブレムには地域への誇りも表れています。BMWはバイエルン州への、スバルは日本の星空への、いすゞは伊勢神宮の五十鈴川への誇りを、それぞれのデザインに込めています。グローバル企業となった今でも、ルーツを忘れないという姿勢が感じられます。
おわりに
普段何気なく見ている自動車のエンブレムには、これほどまでに深い意味や歴史が隠されていました。メルセデス・ベンツの三つ星を見るたびに「陸・海・空」での活躍を目指した創業者の夢を思い出すかもしれません。フェラーリの跳ね馬を見れば、戦闘機パイロットの母親が託した幸運のお守りの物語を思い出すでしょう。
エンブレムを知ることは、その車のルーツや哲学を知ることでもあります。次に街で車を見かけたときには、ぜひエンブレムに注目してみてください。そこには、百年以上にわたる自動車産業の歴史と、世界中の人々のモビリティを支えてきた技術者たちの情熱が刻まれているのです。
トヨタの三つの楕円が示す「つながり」、スバルの6つの星が示す「団結」、三菱のスリーダイヤが示す「伝統」。それぞれのエンブレムに込められた想いを知ることで、車を見る目が豊かになります。
このブログが、皆さまの自動車を見る目を少しでも豊かにするお手伝いができたなら幸いです。これからも、エンブレムに込められた想いとともに、自動車の魅力を再発見していきましょう。