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自分で車検は本当にお得?ユーザー車検の全知識

 

自分で車検は本当にお得?ユーザー車検の全知識

車検の時期が近づくと、多くのドライバーが頭を悩ませるのが「費用の高さ」です。ディーラーや整備工場に依頼すると、どうしても数万円から10万円以上の出費になってしまいます。そんな中、「ユーザー車検」という選択肢を耳にしたことはありませんか。自分で運輸支局に車を持ち込んで車検を受けることで、大幅に費用を抑えられると聞くと魅力的に感じる方も多いでしょう。

しかし、実際のところユーザー車検は誰にでも向いているわけではありません。費用面でのメリットは確かにありますが、その分だけ手間や時間、そして専門知識が必要になります。安易に「安いから」という理由だけで選んでしまうと、かえって時間や労力を無駄にしてしまう可能性もあるのです。

この記事では、ユーザー車検について知っておくべきすべての情報を、実際の体験談や公式情報をもとに詳しく解説していきます。メリットだけでなくデメリットもしっかりとお伝えし、あなた自身がユーザー車検に向いているかどうかを判断できるようにします。

この記事で分かること

この記事を読むことで、以下の内容について詳しく理解できます。

ユーザー車検とは何か、そして通常の車検との違いについて基本から学べます。また、実際にどのような手順で進めるのか、必要な書類は何かといった具体的な情報も網羅しています。費用面では、法定費用の内訳から業者に依頼する場合との比較まで、お金に関する疑問をすべて解消できるでしょう。

さらに、ユーザー車検のメリットとデメリットを包み隠さずお伝えし、どんな人に向いていて、どんな人には向かないのかを明確にします。検査に合格するためのポイントや、不合格になりやすい注意点についても詳しく解説していますので、初めてチャレンジする方でも安心して準備を進められます。

車検は愛車を安全に乗り続けるための大切な制度です。この記事を通じて、あなたにとって最適な車検の方法を見つけていただければ幸いです。

ユーザー車検とは何か

ユーザー車検という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのようなものか正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。まずは、ユーザー車検の基本的な定義と、通常の車検との違いについて詳しく見ていきましょう。

写真AC 引用

整備料金の決め方の記事です。参考にどうぞ!

tatsuyajitian.com

 

ユーザー車検の定義

ユーザー車検とは、ディーラーや整備工場、車検専門店などの業者を通さずに、車の所有者自身が運輸支局(普通車の場合)または軽自動車検査協会(軽自動車の場合)に車を持ち込んで、自ら継続検査を受ける方法のことです。

道路運送車両法では、車の使用者が検査を受けなければならないと定められています。つまり、法律上は本来、所有者自身が車検を受けることが前提となっているのです。しかし、車の点検や整備には専門的な知識が必要であり、また平日の日中に運輸支局へ出向く時間を確保することも難しいため、多くの人が業者に依頼してきました。

ユーザー車検では、車検前の点検整備から書類の準備、予約、当日の検査ラインでの対応まで、すべてを自分で行います。業者に支払う手数料や代行費用が不要になるため、車検にかかる費用を大幅に抑えることができるのが最大の特徴です。

車検と法定点検の違い

ユーザー車検について理解する上で、多くの方が混同しがちなのが「車検」と「法定点検」の違いです。この二つは似ているようで、まったく異なる目的を持っています。

車検(継続検査)は、その時点で車が保安基準を満たしているかどうかを確認するための検査です。外観や灯火装置、ブレーキの効き具合、排ガスの状態など、安全面と環境面での基準をクリアしているかをチェックします。あくまで「今の時点で基準を満たしているか」を見るもので、将来的な故障を予防するものではありません。

一方、法定点検(24ヶ月点検)は、車の故障を未然に防ぐための定期的なメンテナンスです。エンジンルーム内の各部品や足回り、電気系統など、60項目近くにわたって細かく点検します。専門知識や専門工具が必要な作業が多く、一般の方が自分で行うのは非常に難しい内容です。

ディーラーや整備工場に車検を依頼する場合、通常は車検と24ヶ月点検がセットで行われます。しかし、ユーザー車検は「車検」のみを指し、法定点検は含まれていません。ユーザー車検を受ける場合でも、車の安全性を保つためには別途法定点検を受ける必要があります。点検のタイミングは車検の前でも後でも構いませんが、自分で点検できない場合は整備工場に依頼することになります。

ユーザー車検が可能な時期

車検は、車検証に記載されている有効期限の満了日までに受ける必要があります。自家用車の場合、新車登録後の初回車検は3年後、その後は2年ごとに受けることが義務付けられています。

ユーザー車検は、有効期限内であればいつでも受けられます。ただし、有効期限の30日より前に車検を受けると、新しい車検証の有効期限が前倒しになってしまい、次回の車検時期が早まってしまいます。そのため、有効期限が切れる30日前から満了日までの間に受けることが推奨されています。

ここで重要な注意点があります。ユーザー車検の場合、検査で不合格になると整備や再受検により当日中に合格できない可能性があります。有効期限ギリギリに受検して不合格になると、タイミングによっては有効期限を過ぎてしまう可能性もあります。車検切れの状態で公道を走行すると違反になりますので、余裕を持ったスケジュールで計画することが大切です。

写真AC 引用

ユーザー車検のメリット

ユーザー車検を選択する理由は人それぞれですが、主なメリットとしては費用面での節約、車に関する知識の習得、そしてスケジュールの自由度が挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

圧倒的な費用削減効果

ユーザー車検の最大のメリットは、やはり費用を大幅に抑えられることです。業者に車検を依頼する場合、法定費用に加えて車検基本料、検査代行費用、整備費用などが上乗せされます。

法定費用とは、どこで車検を受けても必ず支払わなければならない費用で、自賠責保険料、自動車重量税、検査手数料(印紙代)の3つから構成されています。普通車の場合、車両重量1.5トン以下で新車登録から13年以内の車であれば、法定費用の合計は約4万5千円から5万円程度です。軽自動車の場合は、約3万円程度となります。

一方、ディーラーに車検を依頼すると、法定費用に加えて車検基本料が2万円から5万円程度、さらに整備が必要な場合は部品代や工賃が追加されるため、総額で8万円から15万円以上になることも珍しくありません。車検専門店やカー用品店でも、最低4万円台からとなっています。

ユーザー車検であれば、車の状態が良好で特に整備が必要ない場合、法定費用のみで済みます。つまり、業者に依頼する場合と比較して、1万円から5万円以上も節約できる可能性があるのです。2年に一度のことですが、車を長く乗り続けるのであれば、この差額は決して小さくありません。

車の知識と技術の向上

ユーザー車検を自分で行うことは、愛車と向き合う絶好の機会となります。検査項目を自分で確認し、必要な書類を準備し、実際に検査ラインを通る経験を通じて、車の構造やメカニズムについて深く学ぶことができます。

日頃からオイル交換やタイヤ交換など基本的なメンテナンスを自分で行っている方にとっては、ユーザー車検はさらなる知識と経験を積む良い機会です。ブレーキの効き具合、ライトの光軸、排ガスの状態など、普段は意識しない部分についても理解が深まります。

また、車検の基準や検査項目を知ることで、日常的な車の状態管理にも役立ちます。ちょっとした異音や変化に気づきやすくなり、大きなトラブルになる前に対処できる可能性が高まります。車との一体感が深まり、より長く大切に愛車を乗り続けることにもつながるでしょう。

点検記録簿の見かたの記事です。参考にどうぞ!

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スケジュールの柔軟性

業者に車検を依頼する場合、予約の空き状況によっては希望する日時に車検を受けられないこともあります。特に3月などの繁忙期は、数週間先まで予約が埋まっていることも珍しくありません。

ユーザー車検の場合、約2週間前から予約が可能で、自分の都合に合わせて日時を選ぶことができます。当日に検査を完了できれば、その日のうちに新しい車検証を受け取って車を使用できます。毎日仕事で車を使っている方など、できるだけ早く車検を済ませたい場合には大きなメリットとなります。

ユーザー車検のデメリット

メリットがある一方で、ユーザー車検には看過できないデメリットも存在します。費用が安いという点だけに注目して安易に選んでしまうと、後悔することになりかねません。ここでは、ユーザー車検の主なデメリットについて正直にお伝えします。

手間と時間がかかる

ユーザー車検では、業者に任せれば全部やってもらえることを、すべて自分で対応しなければなりません。事前準備として、車検の基準を調べ、必要な書類を揃え、車の状態を自分でチェックする必要があります。初めての場合は、何をどうすればいいのか分からず、情報収集だけでも相当な時間がかかるでしょう。

予約システムへのアカウント登録、検査日時の予約、自賠責保険の更新手続きなど、事務手続きも煩雑です。当日は運輸支局に出向き、書類を記入し、印紙を購入し、検査ラインに並んで検査を受けます。スムーズに進んだとしても、到着から完了まで1時間から3時間程度はかかります。検査場が混雑している場合や、不合格になって再検査が必要な場合は、さらに時間がかかることになります。

また、運輸支局や軽自動車検査協会は基本的に平日の日中(昼休憩を除く8時45分から15時45分頃まで)しか営業していません。土日祝日は休みですので、平日に仕事がある会社員の方は、有給休暇を取得するか半休を取る必要があります。この点は大きなハードルとなるでしょう。

専門知識と技術が必要

車検では、車が保安基準を満たしているかどうかが厳しくチェックされます。ライトの光軸、ブレーキの効き具合、排ガスの濃度、タイヤの溝の深さなど、専門的な知識がないと判断が難しい項目も多くあります。

日頃から車の整備やメンテナンスに親しんでいない方が、いきなりこれらの項目をすべて自分でチェックするのは非常に困難です。見落としがあれば検査で不合格となり、整備工場で修理してから再度検査を受ける必要が生じます。

また、車検の検査項目と法定点検の項目は異なります。車検に合格したからといって、車が完全に安全な状態であるとは限りません。ユーザー車検だけで済ませて法定点検を受けない場合、検査項目外の部分で故障が発生するリスクが高まります。プロの整備士であれば気づくような不具合も、素人では見逃してしまう可能性があるのです。

写真AC 引用

不合格のリスクと追加費用

ユーザー車検では、当日の検査で不合格になるリスクが常につきまといます。初回の検査を含めて当日3回まで無料で再検査を受けられますが、簡単に直せない不備が見つかった場合は、その日のうちに車検を完了させることができません。

例えば、ヘッドライトの光軸やサイドスリップ、灯火類の球切れなどであれば、検査場近くにあるテスター屋(予備検査場)ですぐに対応してもらえます。しかし、オイル漏れや足回りのブーツの破れ、ガタの発生といった内容で不合格になった場合は、整備工場で部品交換や修理が必要となります。

最近は整備工場も予約制としているところが多く、すぐに作業してもらえないことも珍しくありません。整備が完了したら、再度運輸支局に出向いて検査を受け直す必要があります。2週間以内であれば不合格となった箇所のみの検査で済みますが、2週間を超えると、合格した箇所も含めてすべて最初から検査をやり直すことになります。

当然、再検査のたびに手数料が発生しますし、平日に再度時間を作らなければなりません。整備費用も加わると、結局は業者に任せた方が安く済んだというケースも出てきます。費用を節約するつもりが、かえって時間とお金を無駄にしてしまう可能性があるのです。

安全面での不安

ディーラーや整備工場に車検を依頼した場合、検査項目以外で気になる点があればドライバーに伝え、必要に応じて交換や修理を提案してくれます。プロの目で車全体の状態をチェックしてもらえるため、潜在的なトラブルを未然に防ぐことができます。

しかし、ユーザー車検では、検査項目をクリアすることだけが目的になりがちです。検査には合格しても、翌日に検査項目外の部分で故障が発生する可能性もあります。専門知識や整備技術を持っていなければ、故障や修理が必要な部品に気づかず、そのまま乗り続けてしまうことになりかねません。

車は命を預ける乗り物です。安全面においては大きなリスクを抱えていることを、ユーザー車検を選ぶ際には十分に理解しておく必要があります。

ユーザー車検に必要な書類

ユーザー車検を受けるためには、いくつかの書類を事前に準備する必要があります。書類に不備があると検査を受けられませんので、余裕を持って準備しましょう。普通車と軽自動車で一部異なる書類もありますので、それぞれについて詳しく解説します。

事前に準備する書類

まず、自宅で準備しておくべき書類について説明します。

車検証(自動車検査証)は、車に常備されている最も重要な書類です。検査当日に必ず持参する必要があります。車検証には車両情報や所有者情報が記載されており、これをもとに各種申請書類を記入します。近年は電子車検証(ICチップ入りのA5サイズ)になっている車両もあります。

自賠責保険証明書は、現在加入している自賠責保険の証明書と、新たに継続加入する次回分の証明書の両方が必要です。自賠責保険は車検期間を完全にカバーしている必要があるため、車検有効期間が2025年7月10日までであれば、新しい自賠責保険は少なくとも2025年7月11日以降まで有効でなければなりません。古い証明書だけを持参してしまい、次回分に未加入のまま当日を迎える人が多いので注意が必要です。自賠責保険は検査場近くでも加入できますが、事前に準備しておく方が安心です。

自動車税納税証明書は、自動車税を納付したことを証明する書類です。ただし、2015年以降、多くの都道府県で電子納税確認システム(ELC)が導入され、普通車の場合は納税証明書の提出が不要となっている地域が増えています。東京都、大阪府、愛知県、神奈川県、福岡県など、主要都市圏では対応済みです。運輸支局側が納税済みかどうかを電子データで自動照会してくれます。ただし、5月以降に納付した場合や直前に支払った場合は、データ反映が間に合わず電子確認できないこともあります。その場合は紙の納税証明書が必要になりますので、念のため準備しておくと安心です。

定期点検整備記録簿は、法定点検を車検前に実施した場合に必要となります。点検内容や整備内容を記録した用紙で、車検後に法定点検を行う予定であれば提出は不要です。自分で点検した場合は自分で記入し、整備工場に依頼した場合は工場で記入してもらいます。

印鑑も一応持参します。使う機会はありませんが、持参すれば間違いはありません。認印でいいので持っていきましょう。

検査場で入手する書類

以下の書類は、検査当日に運輸支局または軽自動車検査協会の窓口で入手します。

普通車の場合は、継続検査申請書(OCR申請用紙第3号様式)自動車重量税納付書自動車検査票の3点が必要です。窓口または自動車会館内で当日入手し、必要事項を記入します。

軽自動車の場合も、基本的に同様の書類が必要ですが、書式が若干異なります。窓口で「軽自動車検査票」などを受け取ります。

これらの書類は国土交通省のホームページからダウンロードして印刷することも可能ですが、家庭用のインクジェットプリンターで印刷したものは使用できない場合がありますので、基本的には当日窓口で入手する方が確実です。

また、検査手数料分の印紙・証紙も当日購入します。普通車の場合、検査登録印紙500円と自動車審査証紙1,800円(小型自動車は1,700円)の合計2,200円から2,300円です。軽自動車の場合も同程度です。購入した印紙・証紙は、自動車検査票に貼り付けて提出します。

ユーザー車検の手順と流れ

ユーザー車検を実際に受けるまでの手順と、当日の流れについて詳しく解説します。初めての方でも分かりやすいように、順を追って説明していきます。

写真AC 引用

予約の方法

ユーザー車検を受けるには、事前に予約が必須です。予約方法は普通車と軽自動車で異なります。

普通車の場合は、国土交通省の「自動車検査インターネット予約システム」から予約します。このシステムが唯一の予約窓口であり、電話予約は受け付けていません。初めて利用する場合、または前回の利用から2年1ヶ月以上経過している場合は、新規アカウントの登録が必要です。氏名、電話番号、メールアドレス、パスワードなどを入力してアカウントを作成し、メールで本登録を済ませるとIDが発行されます。

ログイン後、「検査の予約」メニューから、検査場(実際に行く検査場)、検査種別(継続検査など)、検査車種(普通車など)を選択し、予約する日時を決めます。予約はおよそ2週間前から可能です。

軽自動車の場合は、インターネットと電話の両方で予約できます。インターネットで予約する場合は、軽自動車検査協会の「軽自動車検査予約システム」を利用します。電話で予約する場合は、全国の軽自動車検査協会の各支所に電話します。電話予約の受付時間は、平日の午前8時45分から11時45分、午後13時から16時までです。土日祝日や年末年始は休みです。

検査を受けられるのは平日のみという点に注意が必要です。万が一車検に不合格になった場合、整備が必要になり改めて平日に検査を受け直すことになるため、平日の時間確保が難しい場合は、業者に車検を任せることも検討しましょう。

時間帯については、午前の枠を選ぶことをおすすめします。理由は、一度検査に不合格になっても、当日であれば再検査を受けられるからです。午前中に受検すれば、不合格になっても午後に修正して再検査を受ける時間的余裕があります。ただし、当日の書類作成に不安がある場合は、作業時間にゆとりを持てるよう、朝一番の時間帯は避ける方が良いでしょう。

なお、時期によっては検査場が混んでいて予約枠が埋まってしまうこともあります。予約は後で変更することもできますので、まずは希望の日程を押さえておくことをおすすめします。ただし、予約したまま検査場に行かないことを繰り返すと、予約できなくなる恐れがありますので、都合が悪くなった場合は必ず事前にキャンセルしましょう。

事前の車両点検

検査当日にスムーズに合格するためには、事前の車両点検が非常に重要です。いきなり車検場に持ち込んで検査を受けることはできません。

外観チェックとして、フロントガラスやサイドガラスにヒビや損傷がないか確認します。着色フィルムを貼っている場合は、可視透過率が70%を超えているか確認が必要です。70%未満のフィルムは違法改造となり、車検に通りません。また、フロントガラスに車検標章以外のステッカーやお守りなどを吸盤で貼り付けていると不合格になりますので、事前に外しておきましょう。

灯火類のチェックも重要です。ヘッドライト、ウィンカー、ブレーキランプ、バックランプなど、すべてのライトが正常に点灯するか確認します。球切れがあれば交換しておきます。バックランプやブレーキランプは自分では確認しづらいので、他の人に協力してもらうか、ガソリンスタンドで確認してもらうと良いでしょう。検査場の近くには、ヘッドライトテスターでヘッドライトの光軸調整をしてくれるお店もあるので、調整してもらうことを強くお勧めします。

タイヤの点検では、溝の深さとサイドのヒビを確認します。溝は最も摩耗している箇所を基準にして、1.6mm以上残っている必要があります。1.6mm以下になると、溝にスリップサインという盛り上がった部分が出てきて、トレッド面と同じ高さになります。溝が1本でも規定をクリアしていなければ不合格です。サイドにヒビがひどい場合も交換が必要です。

内装の確認として、シートベルトが正常に作動するか、警告灯(シートベルト警告灯、エアバッグ警告灯など)が点灯していないかをチェックします。警告灯が点灯していると不合格となりますので、事前に不具合を解消しておきましょう。

これらの点検項目に不安がある場合は、事前に整備工場で24ヶ月法定点検を受けることを強くおすすめします。プロの目で車の状態を確認してもらい、必要な箇所を整備してもらうことで、ユーザー車検で不合格になるリスクを大幅に減らすことができます。また、検査場は常に混み合っており、不完全な状態で持ち込んでスムーズな検査業務の妨げにならないよう、マナーとしても事前点検は重要です。

写真AC 引用

検査当日の流れ

予約した日時に、運輸支局または軽自動車検査協会に車を持ち込みます。できれば洗車して汚れを落としておくと、検査官の心証も良くなります。

到着後の手続きとして、まず車検証と自賠責保険証明書を車から降ろして持参します。総合窓口または受付で、当日必要な書類一式(継続検査申請書、自動車重量税納付書、自動車検査票)を受け取り、必要事項を記入します。車検証を見ながら記入すれば、それほど難しくありません。初めての場合は窓口で「初めてなので教えてください」と伝えれば、職員が丁寧に教えてくれます。

次に、印紙・証紙の購入を行います。検査手数料と自動車重量税分の印紙・証紙を窓口で購入し、指定された書類に貼り付けます。自動車重量税の金額は、車両重量や経過年数によって異なりますので、事前に確認しておくとスムーズです。

自賠責保険の継続加入も忘れずに行います。事前に加入していれば不要ですが、検査場でも手続きできます。

すべての書類が揃ったら、ユーザー車検受付窓口に提出します。予約番号も伝えてください。書類に不備がないか確認してもらい、問題がなければ検査ラインに進みます。

検査ラインでの検査は、初めての方にとって最も緊張する場面でしょう。しかし、心配する必要はありません。検査ラインに並んでいると、係員が来てヘッドライトのハイビーム、ウィンカー、ワイパー、ウォッシャーなどをチェックしてくれます。初めてであることを伝えれば、「初心者なのでサポートをお願いします」と連絡してくれ、ライン内で職員が何をするか、次にどこをチェックするかを丁寧に教えてくれます。

検査ラインでは、以下のような項目を順に検査していきます。

同一性の確認では、車検証の内容と実際の車が一致しているかを確認します。ボンネットを開けてエンジンルームを見せ、フレームナンバーなどをチェックされます。

外観検査では、検査官が車の外観にキズやへこみがないか、ホイールナットの緩みがないかなどを目視や工具で確認します。

排ガス検査では、車を降りて排気ガステスターをマフラーに差し込み、一酸化炭素炭化水素の濃度を測定します。数秒で測定が完了し、基準値以内であれば合格です。

スピードメーター・ブレーキ検査では、ローラーの上に車を乗せ、指示に従ってアクセルを踏んでメーター読みで40キロまで加速します。その際にヘッドライトのパッシングを行います。続いてブレーキの効き具合、サイドブレーキのチェックを行います。頭上の電光掲示板に次の指示が出て、音声でもガイダンスがあるので、多くの人が問題なくこなせるでしょう。

ヘッドライト検査では、ロービームの照射光度と光軸(向き)を確認します。基準値内であれば合格です。

下回り検査では、検査官が車の下に潜って、オイル漏れやマフラーの状態、足回りの部品に異常がないかをチェックします。

すべての検査に合格すると、検査票に合格印が押されます。不合格の項目があった場合は、その箇所を修正して再検査を受けます。

合格後の手続きとして、合格した検査票を窓口に提出すると、新しい車検証と車検ステッカー(検査標章)が交付されます。車検ステッカーはフロントガラスに貼り付けて完了です。近年は車検証が電子化され、A5サイズのICチップ入りカードになっています。

所要時間は、スムーズに進めば到着から完了まで1時間程度ですが、混雑状況や再検査の有無によって2時間から3時間以上かかることもあります。できれば半日、最低でも数時間はスケジュールに余裕を持つことをおすすめします。

ユーザー車検の費用

ユーザー車検の最大の魅力は費用の安さですが、具体的にどれくらいかかるのでしょうか。法定費用の内訳と、業者に依頼した場合との比較を見ていきます。

法定費用の内訳

ユーザー車検でかかる費用は、基本的に法定費用のみです。法定費用は、どこで車検を受けても必ず支払う必要がある費用で、以下の3つで構成されています。

自賠責保険は、車の保有者に加入が義務付けられている強制保険です。24ヶ月契約の場合、普通車で約17,650円、軽自動車で約17,540円です(2025年時点、離島を除く本土の価格)。保険期間は車検期間を完全にカバーしている必要があります。

自動車重量税は、車両の重量と経過年数によって金額が変わります。普通車で車両重量1.5トン以下、新車登録から13年未満の場合は24,600円です。車両重量2.0トン以下なら32,800円、2.5トン以下なら41,000円となります。13年以上経過した車や18年以上経過した車は、それぞれ重課されて高くなります。一方、エコカーの場合は減税や免税の対象となり、大幅に安くなることもあります。軽自動車の場合、13年未満で6,600円、13年以上で8,200円、18年以上で8,800円です。

検査手数料(印紙代)は、検査を受けるための手数料で、普通車の場合は2,200円から2,300円、軽自動車の場合も同程度です。

これらを合計すると、普通車(車両重量1.5トン以下、13年未満)の場合は約44,000円から45,000円、軽自動車の場合は約27,000円から28,000円となります。車の状態が良好で特に整備が必要なければ、この金額だけで車検を完了できます。

業者車検との費用比較

業者に車検を依頼した場合、法定費用に加えて車検基本料(検査代行費用、点検費用など)と整備費用がかかります。

写真AC 引用

ディーラー車検の場合、車検基本料が3万円から5万円程度で、整備が必要な場合はさらに部品代や工賃が加算されます。総額で8万円から15万円以上になることも珍しくありません。ただし、メーカーならではの専門知識と純正部品を使った丁寧な整備が受けられ、アフターサービスも充実しています。

車検専門店やカー用品店での車検は、比較的リーズナブルで4万円台から7万円程度が相場です。スピーディーに対応してくれるところが多く、代車サービスがある店舗もあります。

整備工場での車検は、店舗によって幅がありますが、5万円から10万円程度が一般的です。地域密着型で融通が利く場合が多く、信頼できる工場であれば長く付き合うことができます。

これらと比較すると、ユーザー車検は1万円から5万円以上も安く済む可能性があります。ただし、この差額は「自分で手間をかける」ことと引き換えであることを忘れてはいけません。また、別途24ヶ月法定点検を受ける必要がある場合は、その費用も考慮に入れる必要があります。

ユーザー車検の注意点

ユーザー車検を受ける際には、いくつか重要な注意点があります。これらを知らずに挑戦すると、思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。

不合格になりやすいポイント

ユーザー車検で不合格になる原因として多いのは、以下のようなものです。

書類の不備や記入ミスは初心者にありがちです。必要書類の記入漏れ、印鑑の押し忘れ、自賠責保険の期限切れ、税金の未納などがあると、検査を受けることすらできません。

違反金の未払いも不合格の理由になります。スピード違反や駐車違反などの交通違反をした記憶がある場合は、きちんと違反金を払っているか確認しておきましょう。一般社団法人日本自動車整備振興会連合会の「放置違反金滞納車情報照会システム」で、車検拒否の状態になっていないかを確認できます。

ヘッドライトの光軸ズレは、最も多い不合格原因の一つです。光軸が狂っていると、対向車を眩惑させたり、自分の視界が悪くなったりします。事前にテスター屋で調整してもらうか、整備工場でチェックしてもらうことをおすすめします。

タイヤの溝不足も見落としがちです。前述のとおり、1.6mm未満では不合格です。スリップサインが出ていないか必ず確認しましょう。

灯火類の球切れは簡単に直せますが、事前にチェックしておかないと当日慌てることになります。すべてのライトが正常に点灯するか確認しましょう。

ウィンドウォッシャー液の不足も意外な落とし穴です。ワイパーとウォッシャーが正常に作動するかチェックされますので、液が入っているか確認しておきましょう。

マフラーの異常や排ガスの基準超過は、エンジンの不調を示している可能性があります。日頃から異音や異臭がないか注意しましょう。

改造車は注意が必要です。車高を下げすぎている、タイヤが車体からはみ出している、マフラーを交換している、エアロパーツを装着しているなど、保安基準に適合しない改造をしていると不合格になります。

再検査の手順と期限

万が一不合格になった場合でも、当日は初回入場を含めて3回まで無料で再検査を受けられます。不備があった箇所が簡単に直せる部分であれば、当日中に車検を完了させることも可能です。

ただし、整備工場での修理が必要な場合は、当日の車検完了を諦めることになります。窓口で自動車検査(保安基準に不適合となった車両に対し、整備・修理を目的として15日間の公道走行と再検査を認める書面)を発行してもらい、整備が完了したら、再度運輸支局に出向いて検査を受け直します。最初の検査日から2週間以内であれば、不合格となった箇所のみの検査(限定検査)で済みます。しかし、2週間を超えると、合格した箇所も含めてすべて最初から検査をやり直すことになり、再度検査手数料も必要です。

OBD車検について

2024年10月から、国産車を対象に「OBD車検」という新しい検査が追加されました(輸入車は2025年10月から)。OBDとは「On Board Diagnosis(車載式故障診断装置)」の略で、車両に搭載されたコンピューターシステムの故障情報を読み取る検査です。

専用のスキャンツールを車両のOBDポートに接続し、故障コードを読み取ります。車検証の備考欄に「OBD検査対象」と記載されている車両が対象ですが、車検日が2024年9月30日以前(国産車)または2025年9月30日以前(輸入車)の場合は対象外です。

OBD車検が導入されても、ユーザー車検そのものがなくなるわけではありません。検査場にはOBD検査用の機器が設置されており、他の検査項目と同様に検査を受けることができます。ただし、OBD検査で不具合が検出された場合は、ディーラーや専門の整備工場で修理が必要になる可能性が高いでしょう。

ユーザー車検に向いている人・向いていない人

ユーザー車検は誰にでもおすすめできる方法ではありません。自分がユーザー車検に向いているかどうかを、以下のポイントで判断してみてください。

ユーザー車検に向いている人

日頃から自分で車のメンテナンスをしている人は、ユーザー車検に最も適しています。普段からオイル交換やタイヤ交換など基本的な作業を自分で行っており、車の状態を把握している方であれば、ユーザー車検をスムーズに進められるでしょう。車や機械いじりが大好きで、エンジンルームの点検を日常的に行っているような人にとっては、ユーザー車検は楽しい経験になるかもしれません。

平日の日中に時間を確保できる人も向いています。運輸支局は平日のみの営業ですので、休みを取りやすい職業の方や、シフト制で平日休みがある方であれば、スケジュール面での問題はありません。

車検の手続きや流れについて自分で調べられる人も適性があります。事前にインターネットや書籍で情報を収集し、準備を怠らない方であれば、初めてでも問題なく対応できるでしょう。

費用を最優先で抑えたい人にとって、ユーザー車検は魅力的な選択肢です。ただし、安全面でのリスクも理解した上で選択することが大切です。

車検を経験として楽しめる人も向いています。「自分で車検を通してみたい」というワクワク感を持って取り組める方であれば、多少の手間も苦にならないでしょう。

ユーザー車検に向いていない人

車の整備や点検に不慣れな人には、ユーザー車検はおすすめできません。車検前の点検項目を自分で確認できない場合、不合格になるリスクが高まります。整備の知識がない方は、専門業者に依頼する方が安心です。

平日に時間を取ることが難しい人も向いていません。土日祝日にしか休みが取れない方や、繁忙期で休みが取りづらい職場環境の方は、有給休暇や半休を取って対応しなければならず、現実的ではありません。このような方には、土日でも対応してくれる業者に依頼する方が適しています。

手続きや書類作成が苦手な人にとって、ユーザー車検は大きなストレスになるでしょう。「そうした調べものは面倒くさい」「できるだけ気軽に車検を受けたい」という方は、業者の通常の車検がおすすめです。

一度でスムーズに車検を終わらせたい人も、ユーザー車検は向いていません。不合格になった場合の再検査や整備の手間を考えると、最初から業者に依頼する方が効率的です。

安全面を最優先したい人は、プロに任せるべきです。ユーザー車検では検査項目をクリアすることが目的になりがちで、潜在的な故障を見逃す可能性があります。大事な愛車を丁寧に整備・点検してもらいたい場合は、業者に依頼する方が安心です。

古い車や走行距離が多い車に乗っている方も、慎重に判断すべきです。経年劣化により様々な部品が劣化している可能性が高く、素人では見落としがちな不具合が隠れているかもしれません。

まとめ

ユーザー車検は、確かに費用を大幅に抑えられる魅力的な選択肢です。法定費用のみで済めば、業者に依頼する場合と比べて1万円から5万円以上も節約できる可能性があります。また、車に関する知識や経験を積むことができ、愛車との向き合い方が変わるかもしれません。

しかし、その一方で、手間と時間がかかること、専門知識が必要であること、不合格のリスクがあること、安全面での不安が残ることなど、無視できないデメリットも存在します。平日の日中に時間を確保しなければならない点も、多くの人にとってはハードルが高いでしょう。

ユーザー車検に向いているのは、日頃から自分で車のメンテナンスをしており、車の状態を把握している方、平日に時間を確保できる方、手続きや情報収集を苦にしない方です。逆に、整備に不慣れな方、忙しくて時間が取れない方、手続きが苦手な方、安全面を最優先したい方には向いていません。

大切なのは、メリットとデメリットを十分に理解した上で、自分の状況や能力、価値観に照らし合わせて判断することです。「安いから」という理由だけで安易に選ぶのではなく、本当に自分に合った方法なのかをよく考えましょう。

もしユーザー車検にチャレンジすることを決めたなら、事前の準備を怠らず、分からないことは積極的に調べたり質問したりする姿勢が大切です。初めての場合は、検査場の職員に「初めてです」と伝えれば、丁寧にサポートしてくれます。

一方、少しでも不安を感じるのであれば、無理をせずに業者に依頼する方が賢明です。車検は車を安全に乗り続けるための大切な制度です。費用だけでなく、安全性や安心感も含めて、総合的に判断することをおすすめします。

ディーラーや整備工場、車検専門店など、それぞれに特徴があります。複数の業者から見積もりを取って比較検討し、自分に合った車検方法を選んでください。定期的に信頼できる業者で点検やメンテナンスを受けることで、愛車を長く安全に乗り続けることができます。

車検は2年(初回は3年)に一度の大切なイベントです。この記事が、あなたにとって最適な車検方法を選ぶための参考になれば幸いです。安全運転で、快適なカーライフをお楽しみください。

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