エンジンがかからない!原因と対処法・修理費用を完全解説
はじめに
朝、急いで出かけようとクルマのキーを回したのに、エンジンがかからない――こんな経験をしたことはありませんか?
「キュルキュル」という音だけで始動しない、まったく無反応、あるいは一瞬かかりそうになるのにすぐ止まってしまう。エンジンがかからないトラブルは、突然訪れるだけに焦りと不安が募ります。
大切な予定があるのに動かない。このまま放置していいのか、それとも今すぐレッカーを呼ぶべきなのか。修理にいくらかかるのか。頭の中は疑問だらけになるでしょう。
実は、エンジンがかからない原因は一つではありません。バッテリー上がりのような比較的軽微なものから、エンジン本体の深刻な故障まで、さまざまな要因が考えられます。そして原因によって、自分で対処できるケースもあれば、整備士の力を借りなければならないケースもあります。
この記事では、エンジンがかからないという緊急事態に直面したあなたが、冷静に状況を判断し、適切な対処ができるよう、原因の見極め方から具体的な対処法、そして気になる修理費用まで、詳しく解説していきます。
この記事で分かること
この記事を読むことで、以下の内容が理解できます。
エンジンがかからないときに現れる症状の種類と、それぞれが示す原因の違いについて詳しく知ることができます。音の種類や反応の仕方から、ある程度トラブルの原因を推測する方法も分かります。
バッテリー上がり、スターターモーターの故障、燃料系統のトラブル、点火系統の問題など、主要な原因ごとの特徴と見分け方を理解できます。
自分でできる応急処置や確認事項、そしてプロに任せるべき判断基準も明確になります。無理に自己対処して状況を悪化させることを避けられるでしょう。
さらに、修理や部品交換にかかる費用の目安も把握できます。ディーラー、民間整備工場、カー用品店など、依頼先による違いについても触れていきます。
- エンジンがかからない!原因と対処法・修理費用を完全解説
エンジンがかからないときの症状パターン
エンジンがかからないといっても、その症状はさまざまです。症状のパターンを理解することが、原因を知る第一歩となります。
完全に無反応のケース
キーを回しても、あるいはプッシュスタートボタンを押しても、何の反応もない状態です。メーターパネルのランプも点灯しない、室内灯もつかない、という完全に「死んでいる」状態を指します。
このケースで最も疑われるのは、バッテリーの完全放電です。バッテリーが空っぽになってしまうと、電気系統すべてが機能しなくなります。ヒューズの断線や、バッテリーターミナルの接続不良なども考えられます。
まれに、盗難防止装置のイモビライザーシステムが誤作動を起こしているケースもあります。この場合、メーターパネルに鍵マークなどの警告灯が点灯することがあります。

セルモーターが回らないケース
メーターパネルは点灯するものの、キーを回してもエンジンをかけるための「キュルキュル」という音がしない状態です。場合によっては「カチッ」という小さな音だけが聞こえることもあります。
この症状では、バッテリーの電圧不足が最も多い原因です。完全に空ではないものの、セルモーターを回すだけの力が残っていない状態といえます。室内灯などの軽い負荷には対応できても、セルモーターという重い負荷には耐えられないのです。
また、キースイッチの不良やセルモーター本体の故障や、セルモーターへの電気を中継するマグネットスイッチ(リレー)の不良も考えられます。
セルモーターは回るがエンジンがかからないケース
「キュルキュル」とセルモーターは勢いよく回るのに、エンジン本体が始動しない状態です。この症状が出ると、バッテリーやセルモーター自体の問題ではないことが分かります。
考えられる原因は多岐にわたります。燃料がエンジンに届いていない燃料系統のトラブル、点火プラグに火花が飛ばない点火系統の問題、エンジン内部のタイミングベルト切れ、燃料噴射を制御するコンピューターの異常など、さまざまな可能性があります。
一瞬かかるがすぐエンストするケース
エンジンがかかりかけて「ブルン」となるものの、すぐに止まってしまう状態です。何度試してもアイドリングが続かず、エンストを繰り返します。
このケースでは、燃料供給の不安定さが疑われます。燃料ポンプの性能低下、燃料フィルターの詰まり、キャブレター車であればキャブレターの不調などです。
また、エアフローセンサーやスロットルボディの汚れ、吸気系統のエアリークなども原因となることがあります。冬場の寒い朝に多く見られる症状でもあります。
主な原因とその詳細
ここからは、エンジンがかからない主な原因について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
バッテリー上がり・バッテリーの劣化
エンジンがかからない原因として最も多いのが、バッテリー関連のトラブルです。JAFのロードサービス出動理由でも、常にトップを占めています。
バッテリーは化学反応によって電気を蓄え、必要なときに放出する装置です。エンジンを始動するセルモーターは、短時間ながら大きな電流を必要とするため、バッテリーの状態が悪いと真っ先に影響が出ます。
バッテリーが上がる原因はいくつかあります。ライトの消し忘れやルームランプのつけっぱなしなど、電装品を使用したまま長時間放置すると、バッテリーは放電していきます。最近のクルマは、キーを抜いても時計やカーナビ、セキュリティシステムなどが常時待機しているため、数週間乗らないだけでも自然放電で上がってしまうことがあります。
また、バッテリー自体の寿命という問題もあります。一般的に、自動車用バッテリーの寿命は3年から5年程度とされています。使用環境や走行頻度によって大きく変わりますが、劣化したバッテリーは満充電の容量自体が減少し、すぐに電圧が下がってしまいます。
特に注意が必要なのは、短い距離を走行する使い方です。エンジンをかけるときには大量の電気を消費しますが、その後の走行距離が短いと、充電が追いつきません。買い物や送迎など、1回の走行が数キロ程度という使い方を続けていると、徐々にバッテリーの充電量が減っていき、ある朝突然かからなくなります。
冬場はバッテリーにとって過酷な季節です。低温では化学反応の効率が落ち、バッテリーの性能が低下します。同時に、エンジンオイルが硬くなるため、セルモーターを回すのにより大きな力が必要になります。夏場は問題なかったのに、冬になってエンジンがかかりにくくなるのは、このためです。
バッテリーの詳い解説記事です。参考にどうぞ!
スターターモーター(セルモーター)の故障
セルモーターは、エンジンを最初に回転させるための電動モーターです。バッテリーから大電流を受け取り、エンジンのクランクシャフトを強制的に回転させることで、燃焼サイクルを始動させます。
セルモーターの故障には、いくつかのパターンがあります。モーター本体の内部にあるブラシという部品が摩耗すると、電気を伝えられなくなります。また、モーター内部のコイルが断線したり、ベアリングが固着したりすることもあります。
セルモーターと連動するマグネットスイッチ(スターターリレー)の故障も多い事例です。このスイッチは、キーをひねったときの小さな電流を受けて、大電流をセルモーターに流す役割を果たします。スイッチ内部の接点が焼けたり、コイルが断線したりすると、「カチッ」という音だけでセルモーターが回らない症状が現れます。
セルモーターの寿命は一概には言えませんが、多くの場合、10万キロから20万キロ程度の走行で何らかの不具合が出始めます。ただし、使用環境によって大きく変わります。
燃料系統のトラブル
エンジンは、燃料と空気の混合気を燃焼させることで動力を得ています。燃料がエンジンに届かなければ、いくらセルモーターを回しても始動しません。
燃料系統のトラブルで最も基本的なのは、燃料切れです。「まさか」と思うかもしれませんが、燃料計の故障や誤認識により、実際には空なのに気づかないケースがあります。特に、坂道や傾斜地に停車していると、タンク内の燃料が偏り、ポンプが吸い上げられないこともあります。
燃料ポンプの故障も重要な原因です。現代の車は、燃料タンク内に電動ポンプを備えており、エンジンまで燃料を圧送しています。このポンプが故障すると、燃料がエンジンに届きません。ポンプの故障は、モーター部分の焼損や、ポンプ内部の羽根の破損などによって起こります。
燃料ポンプは動いていても、途中の経路に問題があることもあります。燃料フィルターが詰まると、燃料の流れが悪くなります。フィルターは燃料に含まれる不純物を取り除く役割を果たしていますが、長期間交換しないと目詰まりを起こします。
寒冷地では、軽油を使用するディーゼル車で凍結トラブルが起こることがあります。軽油は気温が下がると固まる性質があり、適切な寒冷地用の軽油を入れていないと、燃料配管内で固まってしまい、エンジンに届かなくなります。

点火系統の問題
ガソリンエンジンでは、圧縮された混合気に点火プラグで火花を飛ばすことで燃焼が始まります。この点火系統に問題があると、セルモーターは回っても着火せず、エンジンはかかりません。
点火プラグ自体の劣化や故障は、よくある原因の一つです。プラグは使用とともに電極が摩耗し、火花のギャップが広がっていきます。また、カーボンやオイルの付着によって、火花が正常に飛ばなくなることもあります。一般的に、点火プラグの交換時期は2万キロから10万キロとされていますが、使用状況やプラグの種類によって大きく異なります。
イグニッションコイルの故障も増えている原因です。イグニッションコイルは、バッテリーの12ボルトを数万ボルトの高電圧に変換して、点火プラグに供給する装置です。このコイルが劣化すると、十分な電圧を作り出せなくなり、火花が弱くなったり、まったく飛ばなくなったりします。
ディストリビューター(配電器)を備えた古い車では、その内部のローターやキャップの劣化も問題になります。湿気の多い環境では、電気がリークして火花が弱くなることもあります。
スパークプラグの詳しい記事です。参考にどうぞ!
タイミングベルト・タイミングチェーンの切断
エンジン内部では、ピストンの上下運動とバルブの開閉を正確に同期させる必要があります。このタイミングを取るのがタイミングベルト(またはタイミングチェーン)です。
タイミングベルトはゴム製のため、使用とともに劣化します。一般的な交換時期は、走行距離10万キロ、または使用年数10年が目安とされています。この交換を怠ると、走行中に突然切れることがあります。
タイミングベルトが切れると、エンジンの動弁系が完全に機能しなくなります。セルモーターは回っても、エンジン内部で正常な圧縮と吸排気が行われないため、絶対に始動しません。最悪の場合、走行中にベルトが切れると、開いたままのバルブとピストンが衝突し、エンジン内部が大きく損傷することもあります。
タイミングチェーンは金属製で耐久性が高いとされていますが、永久ではありません。オイル管理が悪いと、チェーンやテンショナーが摩耗し、最悪の場合、切れたり外れたりすることがあります。
タイミングベルトの詳しい記事です。参考にどうぞ!
イモビライザーやセキュリティシステムの誤作動
現代の車には、盗難防止のためのイモビライザーシステムが標準装備されています。これは、登録されたキー以外ではエンジンを始動できないようにする電子装置です。
このシステムが誤作動を起こすと、正規のキーを使っていてもエンジンがかからなくなることがあります。キーに内蔵された電子チップ(トランスポンダー)が破損したり、車両側の受信機が故障したりすると、認証が通らなくなります。
バッテリー交換やヒューズ交換の後に、システムがリセットされてしまうケースもあります。メーターパネルに鍵のマークや車とカギのマークなどの警告灯が点灯している場合、イモビライザー関連のトラブルが疑われます。
スマートキーシステムを搭載した車では、キーの電池切れでエンジンがかからないこともあります。多くの場合、緊急時の始動方法が用意されていますが、取扱説明書を確認する必要があります。
その他の原因
上記以外にも、エンジンがかからない原因は存在します。
エンジンコンピューター(ECU)の故障や、各種センサーの異常も考えられます。現代の車はコンピューター制御が複雑化しており、エアフローセンサー、クランク角センサー、カム角センサーなど、多数のセンサーからの情報をもとにエンジンを制御しています。これらのいずれかが故障すると、エンジンが始動しないことがあります。
オルタネーター(発電機)の故障は、直接的な原因ではありませんが、走行中に充電ができないため、バッテリーが上がり、次回エンジンがかからなくなります。
エンジンオイルの極端な不足や劣化も、エンジン内部の摩擦を増大させ、始動困難を引き起こすことがあります。特に、オイルレベル警告灯が点灯している場合は要注意です。
自分でできる確認と応急処置
エンジンがかからないとき、まずは冷静に状況を確認しましょう。場合によっては、自分で対処できることもあります。

基本的な確認事項
最初に確認すべきは、シフトレバーの位置です。オートマチック車の場合、パーキング(P)に入っていないとエンジンはかかりません。また、ブレーキペダルをしっかり踏んでいるかも確認してください。プッシュスタート式の車では、ブレーキを踏まないと始動しない仕組みになっています。
マニュアル車では、クラッチペダルを踏んでいるか確認します。クラッチスイッチが故障していると、ペダルを踏んでもエンジンがかからないことがあります。
燃料計もチェックしましょう。燃料が入っているように見えても、計器の故障で実際には空ということもあります。
メーターパネルの警告灯にも注目してください。バッテリーマーク、エンジン警告灯、鍵マークなど、どの警告灯が点灯または点滅しているかで、ある程度原因を推測できます。
バッテリー上がりへの対処
バッテリー上がりが疑われる場合、他の車から電気を分けてもらう「ジャンプスタート」が有効です。ブースターケーブル(ジャンプケーブル)を使って、救援車のバッテリーと自車のバッテリーをつなぎます。
ケーブルの接続には正しい手順があります。まず、救援車と故障車をできるだけ近づけて停車させます。両車のエンジンを切り、電装品もすべてオフにします。
最初に赤いケーブルを故障車のバッテリーのプラス端子につなぎ、もう一方を救援車のプラス端子につなぎます。次に、黒いケーブルを救援車のマイナス端子につなぎ、もう一方を故障車のエンジンブロックなど、バッテリーから離れた金属部分につなぎます。バッテリーのマイナス端子に直接つながないのは、火花によるショートを防ぐためです。
ケーブルをつないだら、救援車のエンジンをかけて数分待ちます。その後、故障車のエンジンをかけてみます。無事にかかったら、ケーブルを接続と逆の手順で外します。
エンジンがかかった後は、最低30分以上は走行してバッテリーを充電する必要があります。すぐにエンジンを止めると、再び始動できなくなる可能性があります。
ジャンプスターター(携帯型バッテリー)を持っている場合は、他車の助けなしに一人で対処できます。使い方は製品によって異なりますが、基本的にはバッテリーと同じようにプラスとマイナスを接続するだけです。
燃料切れへの対処
燃料計がゼロを示している場合、燃料切れの可能性が高いです。ガソリンスタンドまで歩いていくか、携行缶でガソリンを運んでくる必要があります。
ただし、一般の人がガソリンを携行缶で購入する際には、身分証明書の提示や使用目的の申告が必要です。また、セルフスタンドでは携行缶への給油ができない場合もあります。
少量でもガソリンを入れたら、燃料ポンプが燃料を吸い上げるまで、何度かキーをオンの位置にして数秒待つという動作を繰り返すと、かかりやすくなることがあります。
プロに任せるべき判断基準
以下のような場合は、無理に自己対処せず、整備士に依頼すべきです。
何度ジャンプスタートを試してもかからない場合、バッテリー以外の原因が考えられます。セルモーターや点火系統、燃料系統など、専門的な診断が必要です。
エンジンから異音がする、焦げ臭い、オイル漏れがあるなどの異常な症状が見られる場合も危険です。無理にエンジンをかけようとすると、さらなる損傷を招く恐れがあります。
警告灯が多数点灯している、エンジンチェックランプが点いているという場合も、電子制御系統の診断が必要です。
自分で判断がつかない場合は、無理をせずにロードサービスや整備工場に連絡するのが賢明です。
修理・部品交換の費用目安
エンジンがかからないトラブルの修理費用は、原因によって大きく異なります。ここでは一般的な費用の目安を紹介しますが、車種や地域、依頼する工場によって変動することをご理解ください。
修理の工賃についての記事です。参考にどうぞ!
バッテリー交換の費用
バッテリーそのものの価格は、容量やグレードによって幅があります。軽自動車や小型車用の標準的なバッテリーであれば、5,000円から15,000円程度です。大型車やアイドリングストップ車用の高性能バッテリーは、15,000円から30,000円以上することもあります。
交換工賃は、カー用品店では無料から2,000円程度、ディーラーや整備工場では2,000円から5,000円程度が相場です。
したがって、バッテリー交換の総額は、おおむね7,000円から35,000円程度と考えておくとよいでしょう。
ただし、単なる一時的なバッテリー上がりで、バッテリー自体は問題ない場合は、充電だけで済むこともあります。この場合、ロードサービスを利用すれば無料から3,000円程度、ガソリンスタンドや整備工場では1,000円から3,000円程度で対処できることが多いです。
スターターモーター交換の費用
セルモーターの部品代は、車種によって大きく異なります。軽自動車や一般的な国産車では、新品で30,000円から70,000円程度、輸入車では50,000円から150,000円以上することもあります。
リビルト品(再生品)を使用すれば、新品の半額程度で済むこともあります。リビルト品は、使用済みの部品を分解・清掃し、消耗部品を交換して再生したもので、品質も一定の保証があります。
工賃は、車種や作業のしやすさによって変わりますが、15,000円から40,000円程度が一般的です。エンジンルームのスペースが狭い車種や、セルモーターへのアクセスが困難な車では、工賃が高くなる傾向があります。
総額としては、40,000円から110,000円程度、輸入車や大型車ではさらに高額になることを想定しておくべきでしょう。
燃料ポンプ交換の費用
燃料ポンプの部品代は、20,000円から60,000円程度が相場です。ただし、輸入車や一部の高級車では、100,000円を超えることもあります。
工賃は、燃料タンクの脱着が必要な車種では高くなります。タンクを降ろさずに交換できる車種では15,000円から30,000円程度、タンク脱着が必要な場合は30,000円から60,000円程度かかることがあります。
燃料ポンプ交換の総額は、概ね35,000円から120,000円程度と見ておくとよいでしょう。
燃料フィルターの交換だけで済む場合は、部品代が2,000円から10,000円、工賃が3,000円から10,000円程度で、合計5,000円から20,000円程度と、比較的安価です。
点火プラグ・イグニッションコイル交換の費用
点火プラグは1本あたり1,000円から5,000円程度です。一般的なガソリンエンジンは4気筒なので、4本必要になります。6気筒や8気筒のエンジンでは、本数が増える分費用も上がります。
イリジウムプラグや白金プラグなど高性能なものは高価ですが、耐久性も高くなっています。
工賃は、4気筒エンジンで3,000円から10,000円程度です。エンジンカバーを外す必要がある車種や、V型エンジンではもう少し高くなります。
点火プラグ交換の総額は、4気筒エンジンで7,000円から30,000円程度が目安です。
イグニッションコイルは、1本あたり5,000円から20,000円程度です。すべてのシリンダー分を交換すると、部品代だけで20,000円から80,000円以上になります。ただし、すべてが同時に壊れるわけではないので、不良のあるコイルのみを交換することも可能です。
工賃は点火プラグと同程度か、やや高めで、5,000円から15,000円程度です。
イグニッションコイル交換の総額は、1本交換で10,000円から35,000円程度、全気筒分では40,000円から150,000円以上になることもあります。

タイミングベルト交換の費用
タイミングベルトの交換は、大がかりな作業になるため、費用も高額です。ベルト本体の部品代は5,000円から15,000円程度ですが、同時に交換が推奨されるウォーターポンプ、テンショナー、アイドラープーリーなどを含めると、部品代だけで30,000円から70,000円程度になります。
工賃は作業の複雑さから高額で、40,000円から100,000円以上かかることも珍しくありません。エンジンの種類や車種によって、作業時間が大きく変わるためです。
タイミングベルト交換の総額は、70,000円から170,000円程度が一般的な相場といえます。輸入車や一部の国産高級車では、200,000円を超えることもあります。
タイミングベルトが切れてエンジン内部が損傷した場合、修理費用は大幅に跳ね上がります。バルブの曲がりやピストンの損傷があれば、エンジン本体のオーバーホールや載せ替えが必要になり、数十万円から百万円以上の費用がかかることもあります。
ディーラーと民間整備工場の違い
修理を依頼する先によって、費用や対応が変わることも知っておくべきです。
ディーラーは、メーカー純正部品を使用し、メーカーの研修を受けた整備士が作業します。品質や信頼性は高いですが、費用も高めになる傾向があります。保証がしっかりしている点、車種特有のトラブルに精通している点がメリットです。
民間の整備工場は、費用がディーラーよりも1割から3割程度安いことが多いです。優良な工場であれば、技術力もディーラーに劣りません。リビルト品や社外品の使用も柔軟に対応してくれるため、費用を抑えたい場合に適しています。
カー用品店では、バッテリーや簡単な部品交換は安価で対応してくれますが、複雑な故障診断や大がかりな修理は対応できないこともあります。
トラブルを予防するための日常メンテナンス
エンジンがかからないトラブルの多くは、日常的なメンテナンスで予防できます。
バッテリーの管理
バッテリー液の量を定期的に確認しましょう。密閉型(メンテナンスフリー型)以外のバッテリーは、液量が減ったら補充が必要です。
ターミナルの接続部に白い粉が付着していたら、腐食が進んでいる証拠です。ワイヤーブラシで清掃し、グリスを塗布することで接触不良を防げます。
長期間乗らない場合は、バッテリーを外して保管するか、定期的にエンジンをかけて充電することが重要です。できれば週に一度、15分から30分程度の走行をすると、バッテリーの状態を良好に保てます。
オイル・フィルター交換
エンジンオイルは、エンジン内部の潤滑や冷却、洗浄を担う重要な役割を果たしています。交換時期を守ることで、エンジンの健康を保てます。
一般的には、走行距離5,000キロから15,000キロごと、または半年から1年ごとの交換が推奨されています。ターボ車やシビアコンディション(短距離走行が多い、渋滞が多いなど)では、より頻繁な交換が必要です。
オイルフィルターも同時に交換することで、オイルの清浄度が保たれます。
定期点検の重要性
法定12か月点検や車検は、法律で定められた点検ですが、単なる義務ではなく、トラブルの早期発見につながります。
プロの目で各部を点検してもらうことで、バッテリーの劣化、ベルト類のひび割れ、プラグの消耗など、自分では気づきにくい不具合を発見できます。
早期に対処すれば、部品交換だけで済むものも、放置すれば大きな故障につながることがあります。結果的に、定期点検を受けることが費用の節約にもなるのです。
定期点検の重要性の記事です。参考にどうぞ!
走行距離・年数による交換部品の把握
車には、走行距離や年数に応じて交換が推奨される部品があります。
タイミングベルトは10万キロまたは10年、点火プラグは2万キロから10万キロ(プラグの種類による)、燃料フィルターは3万キロから5万キロなど、メーカーが指定する交換時期があります。
取扱説明書やメンテナンスノートに記載されているので、確認しておくとよいでしょう。
トラブル時のロードサービスの活用
エンジンがかからないときに頼りになるのが、ロードサービスです。

JAFのサービス
JAF(日本自動車連盟)は、会員であれば無料で多くのサービスを受けられます。バッテリー上がりのジャンプスタート、パンク時のスペアタイヤ交換、キー閉じ込みの解錠など、基本的なトラブルはその場で対応してくれます。
非会員でも利用できますが、料金がかかります。バッテリー上がりの対応であれば、昼間で13,000円程度、夜間や高速道路上ではさらに高額になります。
頻繁に車を使う人や、長距離運転をする人は、JAF会員になっておくと安心です。年会費は4,000円で、家族会員制度もあります。
JAFについての詳しい記事です。参考にどうぞ!
自動車保険のロードサービス
多くの自動車保険には、ロードサービスが付帯されています。保険会社によってサービス内容は異なりますが、バッテリー上がりやパンク、燃料切れなどに無料で対応してくれることが多いです。
自分の保険証券や契約内容を確認して、ロードサービスの連絡先や利用条件を把握しておくとよいでしょう。
ただし、保険のロードサービスを利用しても、翌年の保険料に影響しないのが一般的です。事故の保険金請求とは別扱いになっています。
出張修理サービス
最近では、出張修理を行う業者も増えています。バッテリー交換やタイヤ交換など、その場で対応できる修理を、自宅や駐車場まで来て行ってくれます。
費用は業者によって異なりますが、出張料金が加算されるため、店舗に持ち込むより高くなることが多いです。ただし、動かない車を牽引する費用と比較すれば、出張修理の方が安く済むケースもあります。
よくある質問(Q&A)
冬の朝にエンジンがかかりにくくなるのは、ある程度正常な現象です。低温ではバッテリーの性能が低下し、同時にエンジンオイルが硬くなるため、始動に必要な力が大きくなります。
ただし、極端にかかりにくい場合は、バッテリーの劣化が進んでいる可能性があります。バッテリーテスターで診断してもらうとよいでしょう。
また、ディーゼルエンジンの場合、グロープラグ(予熱装置)の不良も考えられます。グロープラグが正常に機能していないと、冷間時の始動性が著しく低下します。
その場で対処できない場合、整備工場やディーラーまで車を運ぶ必要があります。この際、レッカー車での牽引が一般的です。
ロードサービスを利用すれば、一定距離までは無料でレッカー移動してくれることが多いです。JAFの場合、会員であれば15kmまで無料、それ以上は有料になります。
自分でレッカー業者に依頼すると、距離にもよりますが、10,000円から30,000円以上の費用がかかることがあります。
なお、けん引して移動させる場合、免許や技術が必要で、一般の人が他の車でけん引するのは推奨されません。安全のためにも、専門のレッカーサービスを利用しましょう。
まとめ
エンジンがかからないトラブルは、誰にでも起こりうる身近な問題です。しかし、その原因は多岐にわたり、症状から原因をある程度推測することが可能です。
バッテリー上がりのように自分で対処できるケースもあれば、セルモーターや燃料ポンプの故障のように専門家の診断と修理が必要なケースもあります。無理に自己対処しようとせず、状況を冷静に判断することが大切です。
修理費用は原因によって大きく異なり、数千円で済むこともあれば、十万円以上かかることもあります。バッテリー交換であれば比較的安価ですが、タイミングベルトの切断による内部損傷などは高額になります。
日常的なメンテナンスや定期点検を怠らないことで、多くのトラブルは予防できます。バッテリーの状態確認、オイル交換の励行、走行距離に応じた部品交換など、基本的な管理が重要です。
万が一トラブルに見舞われたときのために、ロードサービスの連絡先や利用方法を把握しておくことも大切です。JAFや自動車保険のロードサービスを活用すれば、迅速かつ安全に対処できます。
エンジンがかからないという事態に慌てず、この記事で紹介した知識をもとに、適切な判断と行動をとっていただければ幸いです。愛車を長く安全に使い続けるために、日頃からのメンテナンスと、トラブル時の冷静な対応を心がけましょう。