高速道路で車が止まったら?
命を守る対処法と故障を防ぐ点検
「高速道路で突然エンジンが止まったら…」と考えるだけで不安になりますよね。でも、実はここで最初にお伝えしたいことがあります。高速道路で起きる故障の大半は、出発前の日常点検によって防ぐことができます。バッテリー上がり、タイヤのパンク、ガス欠——JAFへの救援要請の上位を占めるこれらのトラブルは、どれも「うっかりミス」や「メンテナンス不足」が引き金になっているのです。
もちろん、どれだけ準備を整えていても、予期せぬ事態は起こりえます。だからこそこのブログでは、「事前に防ぐための点検知識」を中心に据えながら、万が一の場面での正しい対処法や、事故後の手続きの流れも合わせてお伝えします。ぜひ長距離ドライブの前に、点検の習慣づけと合わせて読んでみてください。
- 高速道路の故障がなぜ点検で防げるのか
- タイヤ・バッテリー・オイルなど項目別の点検ポイント
- 故障・事故が起きたときに真っ先にやるべき行動の順番
- 車外に出た後の正しい避難方法
- 事故発生後の警察・保険会社への連絡と手続きの流れ
- トンネル内で故障した場合の特別な注意事項
知っておきたい数字:故障の大半は点検で防げる

「高速道路の故障は突然やってくるもの」というイメージがありますが、データを見るとまったく違う現実が見えてきます。JAFが2024年度(2024年4月〜2025年3月)に集計したロードサービスの出動理由を見ると、1位がバッテリー上がり、2位がタイヤのパンク、3位が落輪・落込で、この3つだけで全体の約68%を占めています。これらに共通するのは、いずれも「事前の点検や確認で防げた可能性が高い」という点です。
1位:バッテリー上がり / 2位:タイヤのパンク / 3位:落輪・落込
いずれも点検・確認で防げる「人的要因」が多い
JAFはこれらを「ライトの消し忘れ等のドライバーのうっかりミス、メンテナンス不足などの人的要因が多い傾向」と説明しています。バッテリーは寿命が近づいていないか確認する、タイヤは空気圧と溝の深さを出発前にチェックする——こうした基本的な習慣さえあれば、高速道路上での立往生の多くは起きなかった可能性があるのです。
高速道路での故障原因に絞ると、タイヤ(ホイール)の破損が全体の約4割を占めています(2023年NEXCO調べ)。高速走行中のタイヤバーストは車のコントロールを一瞬で奪う非常に危険なトラブルですが、これもタイヤの空気圧管理や溝の点検という、5分もあればできる作業で多くが防げます。釘を踏むなどの不測の事態を除けば、日頃のメンテナンスで大半は防げるとNEXCOも明言しています。
どれだけ点検しても、予期せぬ故障がゼロになるわけではありません。高速道路上での死亡事故の約3割は停止車両への衝突によるものとされています。だからこそ、点検の知識と合わせて、万が一の対処法も頭に入れておくことが大切です。
点検すれば防げる:日常点検とプロ点検のポイント

統計が示す通り、高速道路での故障の多くは「知っていれば防げたトラブル」です。難しい整備の知識は一切いりません。出発の前日か当日の朝に5〜10分時間をとるだけで、高速道路上での立往生リスクを大幅に下げることができます。以下の項目を習慣として身につけてください。
タイヤの点検(最重要)
高速道路での故障原因の約4割を占めるタイヤトラブルは、日頃の点検で多くが防げます。確認すべき項目は主に3つです。まず空気圧です、適正値は運転席ドアの内側または給油口付近のシールに記載されており、月に一度かつ長距離走行前には必ず確認しましょう。空気が少なすぎると「スタンディングウェーブ現象」という危険な状態を引き起こし、高速走行中のバーストにつながります。次に溝の深さです。タイヤの溝にある「スリップサイン」が路面に接地する状態(溝の深さ1.6mm以下)になったタイヤは交換が必要で、高速道路をこの状態で走ることは非常に危険です。最後にひび割れや偏摩耗がないかも目視で確認してください。スペアタイヤを積んでいる場合は、そのタイヤの空気圧も同時に確認しておきましょう。
タイヤを長持ちさせるコツです。参考にどうぞ!
バッテリーの点検
バッテリー上がりはJAFへの出動要請の堂々の第1位です。バッテリーの寿命は一般的に3〜5年が目安とされており、それを超えると突然上がってしまうリスクが高くなります。カー用品店や整備工場ではバッテリーの電圧チェックを無料で行ってくれるところが多いため、最後に交換してから3年以上経つ場合は一度診てもらうことを強くおすすめします。また、バッテリーの端子部分に白っぽい粉のようなものが付着している場合は接触不良のサインです。日頃からエンジンルームを開けたときに確認する習慣をつけておくといいでしょう。
特に2025年以降は、電動パーキングブレーキ(EPB)やブレーキホールド、先進運転支援システム(ADAS)など電子制御機能を搭載した車が急速に普及しています。こうした機能はバッテリーへの依存度が高く、バッテリーが完全に上がるとEPBが解除できなくなるモデルも存在します。電子制御が増えた現代の車こそ、バッテリー管理は以前にも増して不可欠です。「まだ動くから大丈夫」ではなく、定期的な電圧チェックを習慣にしてください。
エンジンオイルの点検
エンジンオイルが不足したまま高速道路を走り続けると、エンジンが焼き付いて走行不能になるリスクがあります。点検方法はシンプルで、エンジンを切ってから5分ほど待ち、オイルレベルゲージを抜いてきれいに拭いてからもう一度差し込み、引き抜いた際のオイルの位置をFとLの線で確認します。オイルの色が黒く濁っている場合は量が足りていても交換のタイミングです。一般的には5,000〜10,000kmまたは1年ごとの交換が目安ですが、車種やオイルの種類によって異なるため取扱説明書で確認してください。
おすすめのエンジンオイルです。参考にどうぞ!
燃費も影響します。参考にどうぞ!
冷却水(クーラント)の点検
冷却水が不足するとオーバーヒートを引き起こし、エンジンに深刻なダメージを与えます。確認はエンジンが完全に冷えた状態で行うことが必須です。熱いときにラジエーターキャップを開けると高温の蒸気が噴き出して大怪我をする危険があります。リザーバータンク(エンジンルーム内の半透明の容器)の液面がMINとMAXの線の間にあるかを目視で確認してください。不足している場合は水道水で一時補充できますが、早めに指定の冷却水(クーラント)で補充し直しましょう。
燃料の確認
ガス欠は「うっかりミス」の代表格です。高速道路のSA・PAはおおむね15〜50kmごとに設置されていますが、区間によっては間隔が開く場所もあります。長距離走行前には必ず満タンにしておくことが基本です。走行中に燃料警告灯が点灯したら、次のSAで迷わず給油してください。「まだ少し走れるはず」という判断が、高速道路上でのガス欠という最悪の事態を招くことがあります。
車載品の確認
いざというときに道具がなければ、対処できる状況でも対処できなくなってしまいます。三角停止表示板が積んであるか、発炎筒の有効期限が切れていないか(助手席足下やドアポケット付近にあることが多い)、スペアタイヤまたはパンク修理キットが搭載されているかを出発前に確認しておきましょう。三角停止表示板は法律上の設置義務がある器材ですが、標準装備されていない車種が多くあります。まだ積んでいない方は今日にでも購入しておくことをおすすめします。
- タイヤの空気圧・目視確認は月1回と長距離前
- バッテリーの状態確認は年1回、3年超なら必ず
- エンジンオイルの量・状態確認は月1回
- 冷却水の液量確認は月1回
- 燃料は毎回の長距離前に満タン
- 車載品(三角表示板・発炎筒)は年1回の有効期限確認
日常点検だけでは見えない部分:プロの点検も活用しよう
日常点検で確認できるのは、あくまでも目に見える範囲や数値の確認が中心です。ブレーキパッドの残量、サスペンションのガタつき、エンジンベルト類の劣化、足回りのブッシュのひび割れなど、素人目には気づきにくい消耗・劣化は数多くあります。こうした箇所は日常点検では見落としやすく、高速走行中に突然トラブルとして表れることもあります。半年〜1年に一度はプロによる点検(法定12ヶ月点検や任意の整備点検)を受けることで、日常点検では気づけない異常を早期に発見することができます。
12ヶ月点検の詳しい解説です。参考にどうぞ!
不安なときは整備工場へ
「自分で確認してみたけど、これで大丈夫か自信がない」「久しぶりの長距離ドライブで心配」という場合は、迷わず整備工場やカーディーラーに相談してください。その際に「今度高速道路を走る予定があるので、点検をお願いしたい」とひと言伝えるだけで、タイヤ・バッテリー・オイル・冷却水・ブレーキなど高速走行に関わる箇所を重点的に確認してもらえます。多くのディーラーやカー用品店では無料または低価格の法定外点検メニューを提供しています。「なんとなく不安」という感覚は、実はとても大切なサインです。プロに診てもらうことで不安を解消してから出発するのが、最も確実な高速道路への備えになります。
高速道路でよくある故障の種類と原因

SECTION 02でお伝えした点検項目が、具体的にどんなトラブルを防ぐのかをここで確認しておきましょう。「どんな故障がなぜ起きるのか」を知ることで、点検の大切さがより実感できるはずです。
高速道路上での故障でダントツの1位がタイヤのトラブルで、全体の約40%を占めています(2023年NEXCO調べ)。高速道路走行中にタイヤがパンク・バーストすれば、車はコントロールを失い、制御不能になる危険があります。タイヤには適切な空気圧が必要で、これが少なすぎたり多すぎたりするとパンク・バーストのリスクが高まります。出発前の空気圧チェックと溝の確認、この2つだけで大半のタイヤトラブルは防ぐことができます。
バッテリー上がりは一般道・高速道路を通じてJAFへの出動要請第1位です。ライトの消し忘れや、バッテリーの経年劣化が主な原因です。バッテリーは一般的に3〜5年が寿命の目安とされており、古いバッテリーは突然上がってしまうことがあります。特に冬場の寒い時期はバッテリーの性能が低下するため、注意が必要です。3年以上経過したバッテリーは年に一度の点検を習慣にするだけで、突然の上がりを防げます。
エンジンが異常に熱くなる「オーバーヒート」は、冷却水(クーラント)の不足やラジエーターの故障が原因で起こります。渋滞中の低速走行が続いたり、夏の高温環境で長距離を走ったりすると発生しやすい傾向があります。水温計がレッドゾーンに入ったり、エンジンルームから白い煙が出てきたりした場合は、すぐに安全な場所へ停車し、エンジンを止めてください。冷却水が沸騰している状態でラジエーターキャップを開けると高温の蒸気が噴き出して大怪我をする危険があるため、エンジンが完全に冷えるまで絶対に開けないようにしましょう。月に一度のリザーバータンクの液量確認で、多くのオーバーヒートは防ぐことができます。
高速道路でのガス欠は「まさか」と思うかもしれませんが、実際にJAFへの出動要請の中でも一定数あります。インターチェンジ間の距離が長い区間では補給できない可能性もあります。出発前には必ず燃料残量を確認し、SA・PAでこまめに補給する習慣をつけることが大切です。燃料警告灯が点灯したら、次のSA・PAで迷わず給油してください。長距離走行前に満タンにする、たったこれだけでガス欠は完全に防ぐことができます。
オイル不足によるエンジン焼き付きや、ベルト類の切断など、走行中に突然エンジンが止まってしまうケースもあります。これらは日常的なオイル交換や点検を怠ることで起きやすくなります。エンジンから異音がする、加速が悪い、振動が大きいといった異変を感じたら、高速道路に乗る前に整備工場で点検してもらうことをおすすめします。
これらの故障の大半は、SECTION 02でご紹介した日常点検を習慣化することで防ぐことができます。「故障してから慌てる」のではなく、「出発前に5分で確認する」習慣こそが、高速道路を安全に走る最大の防御策です。
まず何をする?故障時の対処ステップ

高速道路で異変を感じた瞬間、頭が真っ白になってしまう人は多いでしょう。だからこそ、「この順番で動く」という流れを事前に頭に入れておくことが大切です。焦らず、落ち着いて、以下のステップを実行してください。
JAFの詳しい解説です。参考にどうぞ!
すぐにハザードランプを点灯する
車に異変を感じた瞬間、まっ先にハザードランプをつけてください。後続車への合図として最も即効性があります。後続車からの追突事故防止のため、ハザードランプをつけて事故・故障発生の合図を必ず行いましょう。
急ブレーキをかけず、ゆっくり左に寄せて停車する
可能であれば停車・退避が安全に行えるサービスエリアやパーキングエリアまで移動することが理想です。それが難しい場合は、急ブレーキを避けながら緩やかに減速し、できる限り路肩や非常駐車帯に停車します。
停車後、発炎筒・停止表示器材を設置する
車を停めたら、すぐに発炎筒や三角停止表示板を車の後方に設置します。これは道路交通法で義務付けられており、怠ると「故障車両表示義務違反」となります(減点1・反則金6,000円)。発炎筒は助手席の足下やドアポケットに設置されている車が多いようです。緊急時にすぐ使えるよう、場所を日頃から確認しておきましょう。
同乗者ごとガードレールの外側へ避難する
これが最も重要なポイントです。車内は安全地帯ではありません。後続車に追突され、命を落とした事故が発生しています。運転者も同乗者も全員、ガードレールの外側などの安全な場所へすみやかに避難してください。
安全な場所からJAFや道路緊急ダイヤルに連絡する
ガードレールの外に避難した後、JAF(0570-00-8139)または道路緊急ダイヤル(#9910)に連絡します。運転中の携帯操作は違反行為となるので、同乗者に連絡をしてもらいましょう。
車外への避難と停止表示器材の設置

「車内にいた方が安全では?」と思う方もいるかもしれません。しかし実際は逆です。ここ数年の高速道路における死亡事故の特徴として、何らかの原因で停止した車両から道路上に降り立った人や、停止した車内に留まった人が、後続車の衝突で死亡するという二次的な衝突事故が増加傾向にあります。
正しい降車の仕方
車の降り方に注意が必要です。必ず周囲の交通状況を確認し、走行車線の反対側(基本は左側)から降車します。右側のドアを開けると走行中の車と衝突する危険があります。必ず左側から出ることを覚えておいてください。
避難先はガードレールの外側
同乗者をガードレールの外側などに避難させてから、停止表示板などの停止表示器材を置くことが、道路交通法施行令第27条の6で定められています。設置する際は車線から離れ、ガードレールなどの防護柵より外側の安全な場所を通って移動してください。橋や高架など、ガードレールの外側に出られない場合は、追突された際に巻き添えにならないように、車より後方に避難しましょう。
停止表示器材は必ず設置を
三角停止表示板(三角反射板)は、後続車に停止車両の存在を知らせるための器材で、高速道路での使用は法律上の義務です。停止表示器材は車両に備え付けられていない場合があります。カー用品店などで購入の上、万が一に備えておきましょう。また、現場で慌てないように、一度組み立てる練習をしておくと良いでしょう。
発炎筒の詳しい解説です。参考にどうぞ!
発炎筒は一時的に炎と光で後続車に注意を促すものです。ただし、停止表示器材が必須であることを覚えておきましょう。発炎筒だけで済ませることはできません。両方を携帯しておくことが理想です。
JAF・道路管制センターへの連絡方法

安全な場所に避難できたら、次は救援の連絡です。どこに連絡すればいいのか、何を伝えればいいのかを整理しておきましょう。
主な連絡先
高速道路で故障したときの主な連絡先は以下の通りです。JAF救援依頼は0570-00-8139(24時間受付)、路上の異状通報には道路緊急ダイヤルの#9910(24時間・無料)、高速道路の非常電話は受話器を上げるだけで道路管制センターに繋がります。緊急時や事故の場合は110番に通報してください。非常電話は高速道路本線上には1kmおきに(トンネル内は200mおきに)、また各SA・PAにも設置されています。携帯電話のバッテリーが切れていても使えるため、非常電話の場所を走行中に意識しておくと安心です。
JAFに連絡するときに伝えること
JAFに救援を要請する際は、車名・ナンバー・ボディーカラーに加え、高速道路名・進行方向・キロポスト表示を伝えると対応がスムーズになります。キロポストとは、高速道路の路肩側(左側)に一定間隔で立っている標識で、「〇〇.〇km」と距離が書かれています。停車したら周囲のキロポストを確認してその数字を記録しておく習慣をつけると良いでしょう。また、JAF会員でない場合でも救援依頼は可能です。
①車名・ナンバー・ボディーカラー
②高速道路名と進行方向 /
③キロポストの数字 /
④トラブルの状況と対応してほしい内容
緊急対応が必要と判断された場合には、道路管制センターの指示により交通管理隊(高速道路のパトロールを行っている者)が現地に急行します。安全な場所でお待ちください。
事故が起きたときの対処法と手続きの流れ

故障と並んで、高速道路上での事故も対処の順番を事前に把握しておくことが非常に大切です。事故はパニックになりやすい状況だからこそ、「まず何をすべきか」を頭に入れておくことで、命を守る行動につながります。
事故直後にまずやること
事故が起きた直後、最初に確認すべきはけが人の有無です。自分自身も含め、同乗者や相手方、周囲の人がけがをしていないかを確認し、けが人がいれば速やかに救護活動を行い、必要に応じて救急車を手配してください。ただし、自分がけがをして動けない場合は、無理に救護する必要はありません。加害者や周囲の人による救護を受け、救急車を呼んでもらいましょう。
けが人の救護と並行して、二次事故の防止も非常に重要です。ハザードランプを点灯させ、発炎筒・停止表示器材で後続車に注意を促し、全員がガードレールの外側など安全な場所へ速やかに避難してください。高速道路での事故や故障等で車を止めたところに後続車が衝突する事故や、車外に出ていた運転者や同乗者が後続車にはねられる事故が後を絶ちません。この点は故障の場合とまったく同じです。
けが人の救護と安全確保
まず負傷者の有無を確認し、けが人がいれば救護を行いましょう。ケガの状態によっては救急車(119番)を手配してください。同時にハザードランプを点灯させ、発炎筒・停止表示器材を設置し、全員をガードレールの外側へ避難させます。
警察へ連絡する(110番)
事故の大きさにかかわらず、必ず警察に連絡してください。警察への届出を行わないと、後日保険手続きなどに必要な「交通事故証明書」が発行されず、トラブルの原因となります。道路交通法第72条により、事故の当事者には警察への報告義務があります。
相手方の情報を確認・記録する
相手方の氏名・住所・連絡先・車種・ナンバー・加入している保険会社名を確認しましょう。事故状況がわかる写真も記録しておくと後の手続きに役立ちます。また、ドライブレコーダーが搭載されている場合は、記録データが上書きされないようSDカードを抜くなどの対応も忘れずに行ってください。
自分の保険会社に連絡する
警察への報告が済んだら、早めに自分が加入している保険会社に連絡を入れましょう。保険会社は事故発生時の対応を電話でサポートしてくれるため、焦っている際の大きな助けになります。任意保険にロードサービスが付帯している場合はレッカー移動の手配も可能です。
警察には必ず届け出ること
軽い接触事故であっても、その場での口約束だけで済ませることは絶対に避けてください。一度成立した示談は原則として撤回できないため、後日判明した損害について請求することが困難となる恐れがあります。また、事故直後はけがをしていないと感じていても、翌日以降に頸部の痛みやしびれなどの症状が出てくるケースがあります。事故後は症状がなくても早めに医療機関を受診しておくことを検討しましょう。
警察への届出を行わないと、後日保険手続きに必要な「交通事故証明書」が発行されず、保険金請求が難しくなることがあります。また、届出をせずその場を立ち去ると「当て逃げ」として扱われるケースもあり、3ヶ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金の対象になります。たとえ小さな事故でも、必ず警察へ届け出てください。
交通事故証明書とは
交通事故が発生したことを公的に証明する唯一の書面が、自動車安全運転センターの発行する「交通事故証明書」です。保険会社への賠償金請求や、自身の保険への保険金請求など、さまざまな手続きで必要となります。国土交通省によれば、人身事故の場合、事故発生から5年が経過すると原則として証明書は交付されません。事故後は必ず取得しておくことを推奨します。
自損事故(単独事故)の場合も同じ
相手方がいない自損事故であっても、警察への連絡義務は変わりません。車で自損事故を起こしてしまった場合、他に負傷者がいなかったとしても事故発生から直ちに警察へ連絡する義務があります(道路交通法第72条)。高速道路の路肩やガードレールに接触した場合なども同様です。
トンネル内で故障したときの特別な対処法

高速道路上でも特に危険なのが、トンネル内での故障です。路肩が狭く、出口も限られているため、通常とは少し異なる対応が必要になります。
まずは非常駐車帯を目指す
トンネル内は路肩スペースが少ないため、停車すると二次事故を起こす危険性があります。そのため、トンネル内で故障が発生した場合は、すぐにハザードランプを点灯させて後続車へトラブル発生の合図をします。エンジンが不調でアクセルを踏み込んでも速度が維持できない場合は、ATではNレンジ、MTではニュートラルにシフトチェンジを行い、惰性を極力活用して道路の左側に寄り、直近の非常駐車帯に入るようにしてください。トンネル内には原則として約750mごとに非常駐車帯が設置されています。
非常駐車帯に停まったらどうする
非常駐車帯に停止したら同乗者は必ず車から降りて、非常口などの安全な場所に避難してください。同乗者を避難させた後、停止車両の後方に三角停止表示板などの停止表示器材を設置します。非常駐車帯であっても車内には絶対にとどまらないでください。
トンネル内の非常電話・通報方法
非常電話はトンネル内には約200m間隔で左路肩側にも設置されています。受話器を取るだけで道路管制センターにつながるので、故障の状況などを伝えて係員の指示に従ってください。携帯電話であれば、道路緊急ダイヤル「#9910」または110番に通報します。
トンネル内はガードレールの外側に出ることが難しい構造になっています。非常口(避難連絡坑)がある場合はそちらに逃げ込みましょう。煙や火災が発生した場合は迷わず車を置いて避難することが最優先です。
よくある質問
まとめ:高速道路の安全は、出発前の5分から始まる
このブログを通じてお伝えしたかったことは、一言でまとめると「高速道路での故障の大半は、出発前の点検で防げる」ということです。JAFのデータが示す通り、救援要請の約68%はバッテリー上がり・タイヤのパンク・落輪という3つの原因で占められており、これらはいずれも日常的な点検と確認で防げるトラブルです。難しい整備の知識は必要ありません。タイヤの空気圧、バッテリーの状態、エンジンオイル、冷却水の液量、燃料残量——この5つを出発前に確認する習慣を持つだけで、リスクは大きく下がります。
もちろん、万が一の事態に備えた知識も欠かせません。故障や事故が起きたときはまずハザードランプを点灯させ、急ブレーキを避けて路肩・非常駐車帯へ停車、発炎筒と三角停止表示板を後方に設置し、全員をガードレールの外側へ避難させてください。車内は絶対に安全ではありません。避難が完了したら、JAF(0570-00-8139)または道路緊急ダイヤル(#9910)へ連絡し、救援を待ちましょう。事故の場合は110番での警察への届け出も必須です。
点検を習慣にすること、そして万が一の手順を頭に入れておくこと——この2つが揃ってはじめて、高速道路を安心して走ることができます。次の長距離ドライブの前日、ぜひ5分だけ愛車のコンディションを確認してみてください。その小さな習慣が、あなたと同乗者の命を守ることにつながります。
LINK Motors
参考・情報源
JAF Mate Online(2025年2月) JAF ロードサービス出動理由(2024-2025年度) NEXCO中日本 安全走行ページ NEXCO西日本 緊急時対処法・交通死亡事故発生状況(2024年) 国土交通省 交通事故にあったら 日本損害保険協会 交通事故直後から示談までの流れ