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後輪から変な音…ドラムブレーキ異音の正体とは

 

後輪から変な音…ドラムブレーキ異音の正体とは

車を運転していて、信号で停車する直前や走り始めにブレーキ付近から「キーキー」「ゴーゴー」「カラカラ」といった音が聞こえてきて、ブレーキを踏むと音がして、効かなくなったりしないだろうかと急に不安になったことはありませんか。特に後輪がドラムブレーキの車では、フロントのディスクブレーキとは違う独特の音が出ることがあり、いわゆる「ブレーキ鳴き」として、「これは故障なのか」「このまま走り続けて大丈夫なのか」と気になってしまう方も多いと思います。

ブレーキからの異音は、放置してよいものから、早めに点検が必要なものまで幅が広く、音の種類だけで原因を一つに断定することは難しいのが本音です。とはいえ、音の出方や状況を整理することで、ある程度の原因を絞ることはできます。

この記事では、自動車整備士の経験から、ドラムブレーキで発生しやすい異音の種類と考えられる原因、走行を続けてよいかどうか、自分で確認できることとできないこと、修理にかかる費用の目安、そして異音を放置した場合に起こることについて、できるだけ分かりやすく整理してお伝えします。

この記事で分かること

この記事を読むことで、ドラムブレーキから聞こえる「キーキー」「ゴーゴー」「カラカラ」といった音の種類ごとに、考えられる原因の傾向を知ることができます。また、ドラムブレーキの仕組みのどの部分が異音と関係しているのかも理解できます。

さらに、雨の日や洗車のあとに異音が出やすい理由、その異音のまま走行を続けてよいかどうかの判断の考え方、自分で確認できることと整備工場での確認が必要なことの違い、修理・交換にかかる費用の目安、そして異音を放置した場合にどのような影響が出る可能性があるのかについても触れていきます。

ドラムブレーキの仕組みと異音が出やすい部位

異音の原因を理解するためには、まずドラムブレーキの基本的な構造を知っておくと分かりやすくなります。ドラムブレーキは、タイヤと一緒に回転する円筒形の「ドラム」の内側に、半円形の「ブレーキシュー」を押し当てることで制動力を生み出す仕組みです。

ブレーキシューを押し広げる役割を担うのが「ホイールシリンダー」、ブレーキを離したときにシューを元の位置に引き戻すのが「リターンスプリング」です。これらの部品はドラムの内側という、外からは見えない密閉された空間に収められています。

異音は、これらの部品のいずれかに摩耗や劣化、異物の付着といった変化が起きたときに発生しやすくなります。具体的には、ブレーキシューの摩擦材そのもの、摩擦材を固定している台座の金属部分、リターンスプリングなどのバネ類、そしてドラムの内面が、音の発生源として考えられる代表的な部位です。密閉された構造であるがゆえに、内部で何が起きているのかが外から見えにくく、音の種類が原因を探る手がかりの一つになります。

「キーキー」という音の原因

ブレーキを踏んだときに「キーキー」という高い音が鳴る場合、最も多く考えられるのは、ブレーキシューとドラムが接触する時に少し振動して音を出している場合が多いです。この場合は走行には支障はありません。次に考えられることは、密閉されたドラムの中にブレーキシューのダストが堆積したときです。これも走行には支障ないですが、早めにドラムを分解して清掃をお勧めします。あとは、ブレーキシューとバックプレートというシューの土台との潤滑不足です。最後に一番危険なのはブレーキシューの摩擦材が摩耗して薄くなり、台座となる金属部分がドラムに接触し始めているケースです。摩擦材には、ある程度の厚みが残っているうちは音が出にくいものですが、摩耗が進んで限界に近づくと、金属どうしが接触することで高い音が発生しやすくなります。

このタイプの音は、摩耗の度合いを知らせるサインとして、あえて発生するように設計されている場合もあります。いずれにしても、「キーキー」という音が聞こえ始めたら、摩擦材の残量が少なくなっている可能性を考え、早めに点検を受けることが望ましいといえます。

なお、同じような高い音であっても、ブレーキを踏んでいないときにも常に聞こえる場合は、摩擦材の摩耗以外に、後述するブレーキの引きずりや、異物の付着といった原因も考えられます。音が出るタイミング(ブレーキを踏んだときか、踏んでいないときか)を意識しておくと、整備工場で状況を伝える際に役立ちます。

「ゴーゴー」「ガリガリ」という音の原因

「ゴーゴー」という低めの音や、「ガリガリ」という擦れるような音が聞こえる場合は、キーキー音よりも摩耗や損傷が進んでいる可能性が考えられます。摩擦材がさらに摩耗して台座の金属部分がドラムに広く接触している状態や、摩擦材の一部が剥がれて金属がドラムに直接当たっている状態などが想定されます。

古くなった車では、摩擦材が台座から剥がれてしまうことがあります。摩擦材は接着剤やリベットによって金属部分に固定されていますが、経年劣化や繰り返しの熱によって固定が弱くなることがあるためです。摩擦材が剥がれると、その部分だけ金属がドラムに直接接触するため、「ガリガリ」という音が出やすくなり、同時に制動力も低下します。

また、ドラムの内面に深い傷や段差ができている場合も、シューとドラムの接触状態が不均一になり、こすれるような音につながることがあります。「ゴーゴー」「ガリガリ」という音は、ブレーキの効きそのものに影響している可能性が高いため、聞こえた場合はできるだけ早く整備工場での確認を受けることをおすすめします。古い車種は要注意です。

「カラカラ」「コトコト」という音の原因

「カラカラ」「コトコト」といった、金属が動いて当たるような音が聞こえる場合は、リターンスプリングなど内部のバネ類や、調整機構の部品が緩んだり外れたりしている可能性が考えられます。これらの部品は、ブレーキシューを正しい位置に保つ役割を担っているため、緩みや脱落が起きると、ブレーキの効き方やサイドブレーキの引きしろにも影響が及ぶことがあります。

このタイプの音は、走行中の段差や路面の凹凸に合わせて鳴ることが多く、ブレーキを踏んでいないときにも聞こえる場合があります。錆や経年劣化での原因が多いです。ブレーキ周辺以外の部品(サスペンションや排気系統など)が原因であることも考えられるため、音の発生源を特定するには、実際に車を持ち上げての確認が必要になることが多いです。

いずれにしても、内部の部品が正常な位置にない状態は、ブレーキの性能やパーキングブレーキの動作に影響する可能性があるため、自己判断で様子を見るのではなく、整備工場での確認をおすすめします。

雨の日や洗車後に異音が出やすいのはなぜか

雨の日や洗車のあと、しばらくブレーキから「キーキー」という音が出やすいと感じたことがある方もいらっしゃると思います。これは、ドラムの内側やブレーキシューの表面に水分が付着することで、摩擦材とドラムの間の摩擦の状態が一時的に変化するために起こると考えられています。

ドラムブレーキは密閉された構造であるため、一度内部に水が入り込むと、外に排出されにくいという特性があります。水分を含んだ状態の摩擦材は、乾いた状態とは異なる音や、一時的な効きの変化を引き起こすことがありますが大抵は少しの走行でブレーキがあたたまるために、水分は蒸発して無くなります。

このような音は、走行を続けて摩擦材が乾いてくることで、自然に収まることが多いとされています。ただし、雨の日に限らず常に同じ音が続く場合や、効きに違和感が続く場合は、水分以外の原因も考えられますので、その場合は点検を受けることをおすすめします。

分解しない方がいい理由

整備工場に相談する前に、ご自身でいくつかの点を確認しておくと、原因を探る手がかりになり、整備士に状況を伝える際にも役立ちます。確認できることとして、まず、音が雨の日や洗車のあとだけに出るのか、天候に関係なく出るのかということです。整備士は音が出る詳しい状況を教えてもらえると、対処やアドバイスしやすくなります。

次に、音が出るタイミングも手がかりになります。ブレーキペダルを踏んだときだけ鳴るのか、踏んでいないときにも鳴るのか、また「ブレーキを離すと音がする」というように、踏んでいる間は鳴らず離した瞬間に鳴るのかといった違いも、原因を考えるうえで参考になります。

また、音がどの位置から聞こえているかも重要です。前輪付近からか、後輪付近からかを意識してみると、ドラムブレーキが採用されている後輪側の問題かどうかの手がかりになります。あわせて、サイドブレーキを操作したときの引きしろ(レバーやペダルが動く量)に、いつもと違う変化がないかも確認しておくとよいでしょう。

一方で、ドラムブレーキの内部は、リターンスプリングや自動調整機構など複数の部品が組み合わさっており、組み付けの順序や向きを誤ると、ブレーキが正常に作動しなくなるおそれがあります。そのため、ご自身でドラムを取り外して内部を分解することは避けてください。また、内部にたまったブレーキダストを除去するために圧縮空気で吹き飛ばす、いわゆるエアブローも、粉じんを吸い込むおそれがあるため避けるべき方法とされています。点検や清掃、部品の調整は、整備工場に依頼することをおすすめします。

異音の種類別|危険度の目安一覧

ここまでお伝えした内容を、音の種類ごとに簡単な目安として整理すると、次のようになります。緊急度はあくまで一般的な傾向を示したものであり、実際の状態は車両ごとに異なります。最終的な判断は、整備工場での確認をもとにしてください。

音の種類 考えられる原因 緊急度の目安
キーキー 摩擦材の振動・潤滑不良・摩耗 ★★
ゴーゴー 引きずり・摩耗の進行 ★★★★
ガリガリ 摩擦材の剥がれ・金属接触 ★★★★★
カラカラ・コトコト スプリングの脱落・緩み ★★★★
雨の日だけ鳴る 内部に入り込んだ水分

表の緊急度が高いものほど、ブレーキの効きそのものに影響している可能性が高くなる傾向があり危険です。一方で、雨の日だけ鳴る音は、走行とともに収まることが多いです。ただし、これらはあくまで音の種類から考えられる一般的な傾向であり、複数の原因が重なっている場合や、表に当てはまらないケースもあります。気になる音が続く場合は、緊急度の目安にかかわらず、早めに点検を受けることをおすすめします。

ドラムブレーキの異音は放置しても大丈夫?

音が出たまま走行している車をよく見かけますが、「ドラムブレーキ キーキー 放置」「ドラムブレーキ 異音 後輪」といった検索をされる方が多いように、異音が聞こえたときに「このまま走行を続けても大丈夫か」ということは、多くの方が気になると思います。この点について、音の種類だけで安全性を断定することは難しく、確実な判断には整備工場での確認が必要であるというのが前提になります。

そのうえで考え方としては、音とあわせてブレーキの効き自体に違和感がある場合(ペダルを深く踏み込まないと止まらない、片側に寄るような感覚があるなど)は、摩擦材の摩耗や損傷がかなり進んでいる可能性があり、早めの点検が望ましいとされています。一方で、効きには特に変化を感じず、雨の日や洗車後にだけ一時的な音が出るような場合は、水分による一時的な現象である可能性も考えられます。

しかし摩擦材の摩耗が進むと、最終的には台座の金属部分とドラムが直接接触する状態になり、制動力の低下につながります。また、摩擦材の剥がれやドラムの損傷が進むと、修理に必要な部品の範囲が広がり、結果的に交換費用が大きくなる可能性もあります。

実際に入庫した車で「キーキー」という音の原因を調べると、ブレーキシューが限界近くまで摩耗しており、シュー交換だけで対応できたというケースもありましたし、ブレーキダストの除去だけやバックプレートの注油、ブレーキシューの面取りなどいろいろです。一方で、同じような音が出ていたにもかかわらず長期間そのままにされていた車では、摩擦材の摩耗だけでなくドラムの内面にも傷が入ってしまい、ドラムの交換まで必要になった例もあります。同じ「キーキー」という音であっても、点検のタイミングによって修理の範囲が大きく変わることがある、という一例として知っておいていただけたらと思います。

さらに、後輪のドラムブレーキはパーキングブレーキの機構を兼ねている車種が多いため、内部部品の劣化が進むと、サイドブレーキの効きや引きしろにも影響が及ぶことがあります。異音は、こうした内部の変化を知らせる初期のサインの一つと捉え、聞こえ始めた段階で点検を受けることが、結果的に安心につながると考えられます。

修理・交換にかかる費用の目安

異音の原因として考えられる修理内容ごとに、費用をまとめると、おおよそ次のような目安が一般的に紹介されています。あくまで全国的によく見られる目安の範囲であり、車種や地域、整備工場によって差が出ますので、実際の金額は見積もりでご確認ください。

修理内容 部品代の目安 作業料金の目安
ブレーキシュー交換(左右セット) 5,000円〜15,000円程度 10,000円〜20,000円程度
ホイールシリンダー交換(1輪) 3,000円〜8,000円程度 5,000円〜10,000円程度
ドラムの研磨 3,000円〜6,000円程度(1輪)
ドラム交換(1輪) 5,000円〜15,000円程度 3,000円〜6,000円程度
リターンスプリング等付属品交換 1,000円〜3,000円程度 シュー交換作業に含まれる場合が多い
内部清掃・異物除去 シュー交換作業に含まれる場合が多い

「キーキー」音の原因が摩擦材の摩耗であれば、ブレーキシュー交換が中心となり、左右2輪分で合計15,000円〜35,000円程度になることが多いです。「ガリガリ」音で摩擦材の剥がれやドラムの傷が確認された場合は、シュー交換に加えてドラムの研磨や交換が必要になることがあり、その分費用が上乗せされます。「カラカラ」音でリターンスプリングなどの部品交換が必要な場合は、部品代自体は比較的小さいものの、分解・点検の作業料金がかかります。

点検の結果、複数の部品の交換が同時に必要と判断されることもあります。整備工場で見積もりを取る際には、「どの部品が原因と判断されたのか」「部品代と作業料金の内訳」を確認すると、内容を比較しやすくなります。

よくある質問

Q. ブレーキから「キーキー」という音がしますが、すぐに修理が必要ですか。

A. 「キーキー」という音は、ブレーキシューの摩擦材の摩耗が進んでいるサインである可能性があります。すぐに走行できなくなるわけではありませんが、摩耗が進むほど修理の範囲が広がる可能性もあるため、できるだけ早めに整備工場で点検を受けることをおすすめします。

Q. 雨の日だけ異音がするのですが、原因は何でしょうか。

A. ドラムブレーキは密閉構造のため、内部に水分が入り込むと、摩擦材とドラムの間の摩擦の状態が一時的に変化し、音が出ることがあります。走行とともに乾いて音が収まることが多いとされていますが、雨の日以外にも常に同じ音がする場合は、別の原因も考えられますので点検をおすすめします。

Q. ブレーキペダルを踏んでいるときは鳴らず、ペダルを離すと音がします。これは何が原因でしょうか。

A. 踏んでいる間は鳴らず、離した瞬間や離した直後に音がする場合は、ブレーキシューがドラムから離れる際の動きに関係していることが考えられます。リターンスプリングの状態や、シューとドラムの当たり方が関係している可能性がありますが、原因を一つに断定することは難しいため、整備工場で実際の動きを確認してもらうことをおすすめします。

Q. 「ガリガリ」という音がしますが、走行を続けても大丈夫でしょうか。

A. 「ガリガリ」という音は、摩擦材の剥がれやドラムの損傷が進んでいる可能性があり、ブレーキの効きにも影響している場合があります。音の種類だけで安全性を断定することはできませんので、できるだけ早く整備工場での確認を受けることをおすすめします。

Q. 「カラカラ」という音はブレーキ以外が原因の可能性もありますか。

A. はい、その可能性もあります。「カラカラ」「コトコト」といった音は、サスペンションや排気系統などブレーキ以外の部品が原因であることもあります。音の発生源を特定するには、実際に車を持ち上げての確認が必要になることが多いため、整備工場で相談することをおすすめします。

Q. 異音の修理にはどのくらいの費用がかかりますか。

A. 原因によって異なりますが、ブレーキシューの摩耗であればシュー交換が中心となり、左右2輪分で合計15,000円〜35,000円程度になることが多いという紹介がよく見られます。ドラムの研磨や交換、ホイールシリンダーやリターンスプリングの交換が必要な場合は、その分費用が加わります。具体的な金額は見積もりでご確認ください。

Q. 異音を放置するとどうなりますか。

A. 異音の原因の多くは時間とともに進行する性質のものです。放置すると摩擦材の摩耗が進んで制動力が低下したり、修理が必要な部品の範囲が広がって費用が大きくなったりする可能性があります。また、サイドブレーキの効きにも影響が及ぶことがあるため、異音が聞こえ始めた段階での点検が望ましいといえます。

まとめ

ドラムブレーキから聞こえる異音には、「キーキー」「ゴーゴー」「ガリガリ」「カラカラ」など複数の種類があり、それぞれ考えられる原因の傾向が異なります。摩擦材の摩耗、摩擦材の剥がれ、ドラムの損傷、リターンスプリングなど内部部品の緩みといった要因が、音の種類と関係していると考えられます。

雨の日や洗車後に一時的に音が出る場合は、内部に入り込んだ水分による一時的な現象であることも考えられますが、音が続く場合や効きに違和感がある場合は、自己判断で様子を見るのではなく、整備工場での点検を受けることが大切ですし気持ちの安心にも繋がります。

異音は、ドラムブレーキ内部で起きている変化を知らせる初期のサインの一つです。修理費用は原因によって異なりますが、早めに点検を受けることで、修理の範囲を小さく抑えられる可能性もあります。気になる音が聞こえたら、まずは整備工場に相談してみることをおすすめします。

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本記事は、自動車整備士の知識をもとに、ドラムブレーキで発生しやすい異音の一般的な傾向について解説したものです。記載した内容や費用の目安には、車種や年式、使用条件、整備工場によって差が生じる場合があります。実際の異音の原因や修理内容については、お乗りの車を整備工場で点検してもらい、整備士の判断を確認してください。