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【徹底解説】雪国整備士がブリヂストン新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK WZ-1」完全ガイド|VRX3との違いと実走レビュー



2025年秋、ブリヂストンが満を持して送り出した新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK WZ-1」。 従来のフラッグシップモデル「VRX3」を上回る氷上性能・耐久性・静粛性を兼ね備えた、まさに“次世代ブリザック”です。

この記事で分かること

  • WZ-1の開発背景とブリヂストンの狙い
  • VRX3との明確な違い(性能・構造・価格)
  • 新技術「ENLITEN」や「Wコンタクト発泡ゴム」の詳細
  • 雪道・凍結路・乾燥路での実際の走行感
  • 競合(ヨコハマ・ダンロップ・ミシュラン)との比較
  • おすすめ車種・サイズ・価格の目安
  • 長持ちさせるメンテナンス方法

 

開発背景:なぜWZ-1が生まれたのか

ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「BLIZZAK」シリーズは、1990年代から日本の冬タイヤ市場を引っ張ってきました。私が働き始めたころにスパイクタイヤがなくなり、スタッドレスタイヤが主流になりました。ブリヂストンはPM-20から始まり、MZシリーズになり、REVOシリーズ、VRXシリーズへと進化を重ね、ついに2025年に登場したのが「WZ-1」。 近年のスタッドレス市場は、単に「氷に強い」だけではなく、燃費・静粛性・経年安定性が求められています。特にハイブリッド車やSUVの普及により、重い車体・低温下での制動安定が新たな課題となっていました。

WZ-1は、これら現代的ニーズに応えるべく、ブリヂストンの新素材技術「ENLITEN(エンライトン)」と、氷上接地を極限まで高める「Wコンタクト発泡ゴム」を融合させて誕生しました。

VRX3との比較チャート

性能項目 VRX3 WZ-1(新型) 改善ポイント
氷上制動距離 基準値(100) 約89(11%短縮) 新コンパウンドで制動距離を短縮
氷上旋回性能 基準値(100) 約96(4%改善) トレッド剛性が安定しコーナリングが滑らか
経年劣化耐性 中(約3〜4年が目安) 高(5年以上性能維持) ロングステイブルポリマー採用
転がり抵抗 標準 約7%低減 ENLITEN構造で燃費向上
静粛性 高(ノイズリダクションデザイン) サイプ角度・空洞共鳴を制御
価格帯(参考)

中〜高(1本9000円から)

ネットやショップで価格が違います

高(1本14000円~)

ネットやショップで価格が違います

長寿命を考慮すれば総コスパ向上

※数値はブリヂストン公表値と各種メディア試乗データの平均値をもとに再構成。

ENLITEN技術の詳細解説

ENLITENは、ブリヂストンが掲げる新世代タイヤ構造技術です。薄く・軽く・円く・をコンセプトにタイヤ重量を大幅に軽量化し、省費源化やタイヤの転がり抵抗を大幅に低減することで、環境負荷を低減すると共にハンドリングなどの運動性能との両立を可能にするタイヤ技術です。

スタッドレスへの応用にあたり、ブリヂストンは「発泡ゴム」との相性を最適化。柔らかいゴムに軽量構造を組み合わせるのは難しいとされてきましたが、WZ-1では高分子制御技術により、これを高次元で実現しています。

Wコンタクト発泡ゴム:氷上グリップの核心

WZ-1の氷上性能を支えるのが、新開発の「Wコンタクト発泡ゴム」。気泡による水除去に加え、親水性向上ポリマーがナノ膜の水分子をグリップ力に変換し、制動力・旋回性能を高めています。

また、従来の単一構造ではなく、W(二層)構造を採用。表層の吸水層と、下層の柔軟保持層が役割を分担することで、使用期間が長くても性能が落ちにくくなっています。

新トレッドデザインとノイズ対策

ブロックの並びは非対称設計。外側は旋回安定性、内側は氷上ブレーキ性能を重視しています。さらに「L字タンクサイプ」と呼ばれる新パターンが採用され、氷上でのトレッド表面への水の侵入を効果的に抑制。

静粛性にも注力しており、接地時の共鳴音を低減する「サイレントブロック配列」を導入。実際の試乗では、時速60km前後でも耳障りなロードノイズが軽減され、冬用タイヤ特有の“ゴー音”が少ないとの評価が多数です。

実走レビュー:雪上・氷上での印象

札幌近郊の凍結路で実際にテスト走行したユーザーからは、以下のような感想が寄せられています。

「発進時にタイヤがしっかり路面をつかむ感覚がある。VRX3では滑っていた斜面でも安心して登れた。」

「制動時のABS作動が減り、ブレーキコントロールが自然。コーナーの立ち上がりも安定している。」

特に、気温−5℃以下の低温下でのグリップ力が安定しており、朝晩の凍結路やシャーベット状の雪にも強さを発揮します。

ライバル比較:他社スタッドレスとの違い

ヨコハマ「iceGUARD 7」やダンロップ「WINTER MAXX 03」と比べても、WZ-1は氷上での安定性と経年性能で一歩リード。 ヨコハマは静粛性、ダンロップはコスパが強みですが、総合的な“冬の安心度”で見ると、ブリヂストンが依然トップクラスです。

おすすめ車種とサイズ展開

WZ-1は軽自動車〜SUVまで幅広いラインナップを用意。特に販売が期待されるサイズは以下の通り。

  • 軽自動車用:155/65R14、165/55R15
  • コンパクト:175/65R15、185/60R15
  • ミニバン:195/65R15、205/60R16
  • SUV:215/60R17、225/55R18 など

価格帯は1本あたりおおよそ14,000円~とネットやショップで価格が違いますが、他メーカーのタイヤよりは高めの印象です。高性能モデルとしては妥当な価格設定です。

寿命を延ばすメンテナンスと保管方法

WZ-1は耐候性に優れていますが、保管状態次第で寿命が大きく変わります。 オフシーズンには直射日光を避け、タイヤラックや保管カバーを使用。空気圧は1〜1.5kg/cm²まで下げておくと変形を防げます。

また、ローテーションは5,000kmごとが目安。FF車では前輪の摩耗が早いので、定期的に入れ替えることで均一摩耗を保てます。

総評:ブリザックWZ-1は“冬タイヤの完成形”か

WZ-1は単なるモデルチェンジではなく、冬用タイヤの概念そのものを進化させた一品です。 氷上性能・燃費・静粛性という3つの要素をバランス良くまとめた点が秀逸。VRX3ユーザーの乗り換えはもちろん、他社からの乗り換えでも満足度が高いでしょう。

唯一の欠点は価格の高さですが、安全と安心を“時間で割れば”、むしろコストパフォーマンスに優れた選択といえます。