自動車整備士の将来性は?このまま続けるメリット・デメリットを解説


自動車整備士の将来性は?このまま続けるメリット・デメリットを解説

「このまま自動車整備士を続けていて大丈夫なのだろうか」。現場で働いていると、ふとそう感じる瞬間があるかもしれません。給料がなかなか上がらない、体力的にきつい、EVが増えたら仕事がなくなるのではないか。そうした不安を一度も感じたことがない整備士の方が、むしろ少ないのではないかと思います。

私自身も20年以上、整備の現場に立ってきました。景気の波や新しい車種、新しい技術の登場のたびに「これからどうなるのだろう」と考えてきた一人です。結論を先に言ってしまうと、自動車整備士という仕事そのものがなくなる可能性は低いと考えています。ただし、それは「どこで働いても安泰」という意味ではありません。この記事では、なぜそう言えるのかを、公的な統計データも交えながら、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

この記事で分かること

  • 自動車整備士という仕事の将来性についての基本的な考え方
  • 整備士を続けることのメリットとデメリットの両方
  • 「将来性がない」と言われる理由と、それに対する考え方
  • これから求められる知識や技術の方向性
  • 続けるか転職するか迷ったときに考えたいポイント

自動車整備士の将来性は?

先に結論からお伝えします。自動車整備士という仕事そのものは、今後も必要とされ続ける可能性が高いと考えられます。理由はシンプルで、自動車という乗り物がある限り、点検や車検、故障の修理という作業がなくなることは考えにくいからです。実際、国が公表している資料でも、自動車整備分野では人手不足の状態が続いていることが示されています。

ただし、ここで注意しておきたいことがあります。それは「整備士という資格や経験さえあれば、どこで働いても将来は安泰」というわけではないという点です。仕事そのものの需要と、あなたが今働いている会社での待遇や働きやすさは、必ずしもイコールではありません。この違いを分けて考えることが、この記事全体を通して一番お伝えしたいポイントです。

自動車整備士に将来性があると考えられる理由

整備という仕事そのものがなくなる可能性は低い

車は走れば必ず消耗します。タイヤはすり減り、オイルは劣化し、ブレーキパッドも減っていきます。車検や法定点検といった制度そのものがなくなるとも考えにくいところです。仮に電気自動車が主流になったとしても、タイヤやブレーキ、足回りといった機械的な部分の整備や、電装系の点検という仕事自体はなくなりにくいと考えられます。車という乗り物の基本的な構造が続く限り、整備という仕事の必要性そのものが消えてしまう可能性は低いのではないかと思います。

整備士の人手不足が続いている

国土交通省の資料では、自動車整備分野の有効求人倍率は5.09倍とされ、令和10年度には約40万2,000人の就業者が必要になると推計されるなど、高い水準の人手不足が続いています。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも、令和6年度時点の有効求人倍率は5.45倍とされており、調査元によって数値の差はあるものの、整備士の需要が高い水準にあることは共通しています。「仕事がなくなるかもしれない」というよりも、むしろ「整備士を必要としている会社が多い」というのが、現状に近いと言えそうです。

技術の変化によって、新しい仕事が生まれている

「電気自動車が増えたら整備士はいらなくなる」という話を耳にすることがあるかもしれませんが、これは半分正しく、半分は誤解だと感じています。従来のエンジンを中心とした整備知識だけでは対応が難しくなる場面は増えていく一方で、高電圧バッテリーやモーター、先進運転支援システム(ADAS)など、これまでとは違う分野の知識を持つ整備士の必要性は、むしろ高まっていくと考えられます。加えて、若い世代の整備士志望者の減少や高齢整備士の引退も人手不足の要因として挙げられており、経験を積んだ整備士や、これから技術を身につけようとする若手にとっては、市場価値が相対的に上がりやすい状況とも言えます。仕事がなくなるというより、求められる中身が変化していく、というイメージのほうが実態に近いのではないかと思います。

現場作業はAIだけでは代替しにくい

故障診断機やAIを活用したシステムは今後さらに進化していくと考えられますが、実際に車の下に潜り込んで部品を確認したり、手を動かして修理したりという現場作業は、今のところ人の手に大きく依存しています。診断機が示すデータをもとに最終的にどう判断し、どう修理するかを決めるのは整備士自身です。ただし、これは「昔ながらの勘と経験だけで乗り切れる」という意味ではなく、診断機を使いこなせる整備士であることが、これからはより重要になっていくはずです。

自動車整備士としてこのまま続けるメリット

まず、仕事そのものがなくなりにくいという点は大きな安心材料になります。人手不足が続いていることを考えると、仕事そのものがなくなる可能性は低いと考えられます。

また、整備士としての経験は、ディーラーや民間の整備工場だけでなく、車検専門店、中古車販売店、トラックやバスといった大型車両を扱う会社、建設機械関連、自動車部品メーカー、さらには損害保険会社の事故対応部門など、幅広い分野で評価されやすいという特徴があります。整備士の経験がそのまま別の業界での強みになるケースは、決して珍しくありません。

さらに、資格や経験は積み上げ型であるという点も見逃せません。2級や1級の整備士資格、検査員資格、診断技術など、経験を重ねるほど「自分に何ができるか」がはっきりしていく仕事です。車の技術がHVからEV、そしてADASへと変化していく中で、その変化についていける整備士は、今後も市場価値を保ちやすいと考えられます。

自動車整備士としてこのまま続けるデメリット

一方で、正直に感じているデメリットについてもお伝えします。

まず、人手不足だからといって、それが必ずしも給料の高さに直結するとは限らないという現実があります。会社によって待遇の差はかなり大きく、同じ整備士という仕事でも、給料や賞与、残業の扱いには開きがあります。「人手不足=給料が上がる」と単純には言い切れない部分があることは、デメリットであるとともに、整備士不足の問題点でもあります。

体力的な負担も無視できません。中腰での作業や重いタイヤの持ち運び、下回りの点検、夏の暑さや冬の寒さの中での屋外作業、長時間の立ち仕事など、体への負担が大きい仕事であることは事実です。車が好きという気持ちだけで、何十年もこの働き方を続けるのは簡単ではないと感じている整備士は少なくないはずです。

そして、技術の変化についていく必要があるという点もデメリットとして挙げられます。かつては機械的な知識と経験さえあれば対応できた部分が多くありましたが、これからは機械の知識に加えて、電気や電子制御、診断技術まで幅広く求められるようになっていきます。学び続けることが前提の仕事になりつつあると言えるでしょう。

さらに、勤務先によって働き方が大きく異なるという点も重要です。同じ整備士という職種であっても、ディーラーと民間の整備工場では、待遇や残業時間、休日の取りやすさ、任される仕事の内容がまったく違うことがあります。「整備士という仕事自体を辞めるかどうか」を考える前に、「今の会社を変える」という選択肢がないかを、一度冷静に検討してみる価値はあると思います。

 

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「自動車整備士は将来性がない」と言われる理由について

検索していると「自動車整備士 将来性 ない」といった声を目にすることがあるかもしれません。ここでは、よく言われる理由について、順番に考えてみたいと思います。

EVが増えると仕事がなくなるのではないか

先ほどもお伝えした通り、EVが主流になったとしても、タイヤやブレーキ、足回り、エアコン、電装系といった点検や整備の必要性そのものはなくなりません。仕事の内容は変わっていきますが、仕事そのものがゼロになるとは考えにくいです。

車が壊れにくくなって整備の需要が減るのではないか

車の耐久性が向上していることは事実ですが、それでも定期的な点検や車検、消耗品の交換は必要です。整備の内容や頻度は変化していくかもしれませんが、需要そのものがなくなるとは言い切れません。

AIや診断機に仕事を奪われるのではないか

診断機やAIは、故障の原因を絞り込む手助けをしてくれる便利な道具ですが、最終的な点検や修理、部品交換、確認作業には、やはり人の手と経験が必要になります。道具が進化することで仕事のやり方は変わっていきますが、それがそのまま「仕事がなくなる」ことを意味するわけではないと考えています。

これからの自動車整備士に求められる知識や技術

これから整備士として長く活躍していくためには、いくつかの分野の知識を身につけておくことが役立ちます。まず、電気や電子制御に関する基礎知識です。従来のエンジン整備の知識に加えて、電子回路や制御システムへの理解が求められる場面が増えていきます。

また、スキャンツールなどの診断機器を使いこなす力も重要になっていきます。単に部品を交換するだけでなく、なぜその故障が起きたのかを診断機のデータから読み解き、原因を特定できる整備士が評価されやすくなっていくはずです。加えて、HVやEVに関する知識、そしてADASと呼ばれる先進安全技術への理解も、今後さらに必要とされていく分野だと考えられます。

言い換えると、「部品を交換できる整備士」から「原因を診断できる整備士」へと、求められる役割が少しずつシフトしていくイメージです。すべてを一度に完璧に身につける必要はありませんが、少しずつでも新しい分野の知識に触れておくことが、将来の選択肢を広げることにつながります。

自動車整備士は何歳まで続けられるのか

体力的な負担がある仕事だからこそ、「何歳まで続けられるのか」という疑問を持つ方も多いはずです。ここでは年代ごとの考え方を整理してみます。

20代のうちは、基本的な整備技術や資格を身につけていく時期になります。30代になると、それまでの経験や資格を武器にしながら、自分の専門分野を少しずつ明確にしていく時期と言えるでしょう。40代に差しかかると、現場作業だけでなく、故障診断や検査業務、後輩の指導、フロント業務、管理職といった選択肢が視野に入ってくる方も増えてきます。50代以降は、体力だけに頼らない働き方として、これまで積み重ねてきた経験や判断力、教育する力を活かせるポジションを考えていくことが、無理なく長く働き続けるための一つの方向性になると思います。

続けるべきか、転職を考えるべきか

このまま整備士として働き続けるべきか、それとも転職を考えるべきか。この判断に、絶対的な正解はありません。ただ、判断の材料として、いくつかの視点を持っておくことは役に立ちます。

車が好きで、整備という仕事そのものにやりがいを感じており、新しい技術を学ぶことにも抵抗がなく、今の職場の待遇にも大きな不満がないという方であれば、そのまま経験を積んでいくことは十分に価値のある選択だと思います。一方で、何年働いても給料がほとんど上がらない、サービス残業が常態化している、休日が少ない、人間関係に悩んでいる、新しい技術を学ばせてもらえる環境がないといった状況が続いているのであれば、一度立ち止まって、今の会社や働き方を見直すタイミングかもしれません。

 

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自動車整備士を辞める前に考えておきたいこと

「整備士を辞めたい」と感じたとき、実はその気持ちの中身をよく見てみると、「整備士という仕事そのものが嫌なのか」それとも「今の会社が合っていないだけなのか」で、次に取るべき行動はまったく違ってきます。

たとえば、整備という仕事自体は好きだけれど給料が低いという場合であれば、待遇の良い他社への転職が選択肢になります。車は好きだけれど、現場でのきつい作業が体力的に厳しいと感じているのであれば、フロント業務や営業、部品メーカーといった、整備士経験を活かしながら現場から少し離れた仕事への転職も考えられます。そもそも車業界自体から離れたいという場合には、整備士として培った責任感や手先の器用さ、機械への理解力といった強みを、異業種で活かしていくという道もあります。

「整備士を辞める」ということは、「整備士としての経験を捨てる」ということとは違います。この点を分けて考えることで、少し気持ちが楽になる方もいるのではないかと思います。

整備士としての経験を活かせる仕事には、どのような選択肢があるのか。具体的な職種や業界については、別の記事で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。

自動車整備士の将来性を高めるための会社選び

ここまでお伝えしてきた通り、自動車整備士という仕事そのものの将来性は、決して低くないと考えられます。ただし、その将来性を実際に自分のものにできるかどうかは、どの会社で、どんな環境で働くかによって大きく変わってきます。整備士としての将来性は、資格や技術だけでなく、勤務先という要素も含めて考える必要があるということです。

会社を選ぶ際には、給料や賞与といった基本的な条件はもちろんですが、休日の取りやすさや残業の実態、資格手当の有無、教育制度が整っているかどうか、診断機などの設備投資に積極的かどうか、EVやHVへの対応を進めているかどうか、そして整備士の定着率といった点も参考になります。国土交通省も、整備業界全体の人材確保に向けて、働きやすさや待遇を含めた職場づくりを進める方針を示しています。今の職場がこうした条件を満たしているかどうかを、一度棚卸ししてみることをおすすめします。

よくある質問

Q. 自動車整備士は本当に将来性がない仕事なのでしょうか。

A. 人手不足が続いていることや、EVやADASなど新しい技術に対応できる整備士へのニーズが高まっていることから、仕事そのものの将来性が低いとは言い切れません。ただし、勤務先によって待遇や働き方には大きな差があるため、「整備士という仕事」と「今働いている会社」は分けて考える必要があります。

Q. EVが普及すると整備士は不要になりますか。

A. 従来のエンジン整備の知識だけでは対応が難しくなる場面は増えていきますが、タイヤやブレーキ、足回り、電装系などの整備は引き続き必要です。加えて、高電圧バッテリーやモーターなど、新しい分野の知識を持つ整備士の需要は今後高まっていくと考えられます。

Q. 整備士から他の仕事に転職する場合、経験は活かせますか。

A. ディーラーや整備工場に限らず、部品メーカーや損害保険関連、中古車販売店、大型車両を扱う会社など、整備士としての経験を評価してくれる業界は幅広く存在します。整備士経験がそのまま強みになるケースは少なくありません。

Q. 何歳まで整備士として現場作業を続けられますか。

A. 個人差が大きく、一概には言えません。ただ、体力面の負担を考えると、年齢を重ねるにつれて、現場作業だけでなく、検査や診断、後輩指導、管理業務といった役割へ少しずつシフトしていく整備士も多く見られます。

まとめ|自動車整備士の将来性は「ない」のではなく「変わっている」

自動車整備士という仕事がなくなってしまうのではないかと不安に感じるよりも、「これからの整備士に必要とされる知識や技術を、今の環境で身につけられているか」を考えることのほうが、実はずっと大切だと感じています。

人手不足が続いている以上、仕事そのものの需要は今後も高い水準で続くと考えられます。その一方で、EVやHV、ADASといった新しい技術の普及によって、整備士に求められる知識や役割は確実に変化しています。

だからこそ、「整備士を続けるか、辞めるか」という二択で考える必要はありません。今の会社で新しい技術を学びながらスキルアップしていく道、より待遇の良い会社へ転職する道、整備士としての経験を活かして別の仕事へ移っていく道。どれも十分に現実的な選択肢です。まずは、今の自分がどの状況に近いのかを整理するところから、始めてみてはいかがでしょうか。

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本記事は公開されている情報をもとに作成していますが、統計データは調査時点のものであり、今後変動する可能性があります。最新の情報は各官公庁の公式資料をご確認ください。

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