
中古車の選び方5選|整備士20年以上の私が見る「買っていい車・避けたい車」
中古車販売店で中古車を選ぶとき、多くの方が「本当にこの車で大丈夫なのだろうか」という不安になってしまう。「この車、安いけど買って大丈夫だろうか」「走行距離5万kmなら問題ないのだろうか」「修復歴ありと書いてあるけど、やっぱり危険なのだろうか」「販売店の担当者は『大丈夫ですよ』と言っているけれど、信用してよいのだろうか」。こうした疑問を抱えたまま、決め手が見つからずに検索されている方も多いと思います。
私は整備士として20年以上、さまざまな中古車の点検や修理の現場に立ち会ってきました。その中で強く感じるのは、中古車選びで後悔してしまう方の多くが、価格や見た目、走行距離といった「目につく数字」だけで判断してしまっているということです。逆に言えば、いくつかの確認ポイントと、整備士としての判断の目線を知っておけば、中古車選びの失敗はかなり防ぐことができます。
この記事では、実際に整備の現場で得た経験をもとに、中古車を選ぶ際にチェックしていただきたいポイントを5つご紹介し、さらに「私ならこう見て、こう判断する」という判断基準、そして実際によくある失敗まで踏み込んでお伝えします。専門的な内容もできるだけかみ砕いて説明しますので、車に詳しくない方でも安心して読み進めていただければと思います。
この記事で分かること
- 走行距離や年式だけに頼らない中古車の見極め方
- 「事故歴」と「修復歴」の違いと、それぞれの確認ポイント
- 保証やアフターサービスの内容を比較する視点
- 整備士が中古車を見るときに実際に確認している部分
- 中古車選びでよくある失敗パターンと、その避け方
- 「買っていい車」と「見送るべき車」の判断の目安
- 販売店に聞いておくと安心できる質問
目次
中古車選びで失敗しないための5つのポイント

ここからは、実際に中古車を選ぶ際に確認していただきたい5つのポイントを、順番にご紹介していきます。それぞれの項目の最後に、私が実際に現場でどう判断しているかについても触れていますので、購入前のチェックリストとしてぜひ活用してください。
1. 走行距離と年式だけで判断しない
中古車を探すとき、多くの方がまず目にするのが「年式」と「走行距離」ではないでしょうか。たしかにこの2つは車の状態を判断するうえで参考になる情報ですが、これだけで車の良し悪しを判断するのは危険だと感じています。
たとえば、走行距離が少ない車であっても、長期間ほとんど動かされずに放置されていた車は、ゴム部品やバッテリーなどが劣化している場合があります。逆に、走行距離が多くても、高速道路での走行が中心で定期的にオイル交換などのメンテナンスがきちんと行われてきた車は、状態が良好であることもよくあります。「走行距離5万kmなら安心、10万kmなら危険」と単純に線引きできるものではないというのが実際のところです。
私が実際に判断するときは、走行距離そのものよりも、その距離に見合った整備が行われてきたかどうかを重視します。走行距離が多くても記録簿がしっかり残っていて、消耗品の交換履歴が確認できる車であれば、購入を前向きに検討してよいと考えます。逆に、走行距離が少なくても使用状況や整備履歴が不明な車は、見た目の数字だけで安心せず、慎重に確認することをおすすめします。
2. 「事故歴」と「修復歴」は同じ意味ではない
中古車選びにおいて、価格や見た目以上に重視していただきたいのが「事故歴」と「修復歴」の確認です。この2つの言葉は、混同して使われがちですが、実際には意味が異なります。
「事故歴」は、その車が過去に事故に遭ったことがあるかどうかを指す一般的な表現です。一方で「修復歴」は、事故や損傷によって車の骨格部分にあたるフレームなどに修理が行われたことを指す、より専門的な意味を持つ言葉です。つまり、事故に遭った経験があっても、骨格部分に及ぶような修理をしていなければ「修復歴なし」として扱われることがありますし、逆に大きな事故でなくても、修理の内容によっては「修復歴あり」に分類されることもあります。この違いを知らずに「事故歴なし」という言葉だけで安心してしまうと、実際の車の状態を見誤る可能性があります。
修復歴がある車が一律に「乗ってはいけない車」というわけではありません。修復の内容や範囲によって状態は大きく異なるため、購入を検討する際は、修復歴の有無だけでなく、具体的にどの部分が、どのような方法で修復されたのかまで販売店に確認することをおすすめします。
私が判断するときは、修復の内容が説明できない、あるいは書類での確認ができない場合は、基本的に見送る方向で検討します。逆に、修復箇所と修復方法が明確に説明でき、書類でも裏付けが取れる場合は、その内容次第で購入を検討します。色味の違いやパネルの隙間といった見た目の違和感だけで自己判断するのではなく、気になる点があれば専門家による検査を依頼していただくのが確実です。
3. 保証内容とアフターサービスを確認する
中古車は新車と違い、購入後に思いがけない不具合が見つかることがあります。そのときに頼りになるのが、販売店が用意している保証制度です。保証の有無や内容は販売店によって大きく異なるため、価格だけでなく保証内容もあわせて比較することをおすすめします。
確認していただきたいポイントとしては、保証の対象となる部位はどこまでか、保証期間はどのくらいか、保証を受けられる範囲は全国の提携工場なのか購入した店舗のみなのか、免責事項はあるか、といった点が挙げられます。「保証あり」という表示だけを見て安心するのではなく、その中身まで確認することが大切です。
私が見るときは、エンジンやミッションといった修理費用が高額になりやすい部分が保証の対象に含まれているかどうかを重視します。ここが対象外になっている、あるいは免責の条件が細かく設定されている場合は、実質的に保証があってもないに等しいケースもあるため、契約前に書面でしっかり確認することをおすすめします。
4. 点検整備記録簿の有無を確認する
点検整備記録簿とは、これまでにその車がいつ、どのような点検や整備を受けてきたかが記録されている書類のことです。この記録簿がしっかり残っている車は、前のオーナーが定期的にメンテナンスを行ってきた可能性が高く、車の状態を判断するうえで非常に参考になる資料です。
記録簿を確認する際には、点検が継続的に行われているか、オイル交換などの消耗品のメンテナンスが適切な間隔で行われているかといった点に注目してみてください。記録が長期間途切れている場合や、そもそも記録簿自体が残っていない場合は、その車がどのように扱われてきたのかを知る手がかりが少なくなってしまいます。
記録簿がない、あるいは記録が不十分な車が必ずしも状態の悪い車というわけではありませんが、情報が少ない分、購入後の状態確認や点検をより慎重に行う必要があると考えていただくとよいでしょう。私自身は、記録簿がまったくない車については、現車確認と試乗の比重をより高くして判断するようにしています。
5. 試乗と現車確認を怠らない
写真や車両情報の記載内容だけで購入を決めてしまうのではなく、可能な限り実際に車を見て、試乗してから判断することを強くおすすめします。カタログスペックや記載された情報だけでは分からない、実際の乗り心地や車内の状態、においなどは、現地でしか確認できない情報だからです。
試乗の際には、走行中に異音や振動がないか、ブレーキを踏んだときの効き方に違和感がないか、エアコンやパワーウィンドウなどの電装品が正常に動作するかといった点を意識してみてください。専門的な診断は難しくても、「なんとなく普段と違う感覚がする」という違和感は、購入を検討するうえで大切な判断材料になります。
私が現車を見るときは、後ほど紹介する「エンジン始動時の音」「アイドリングの安定性」「オイル漏れの有無」などを優先して確認します。これらに明らかな異変がある場合は、購入を見送る方向で検討することをおすすめします。逆に、これらの点に大きな問題がなく、試乗した際の乗り心地にも違和感がなければ、購入を前向きに検討してよい車だと判断しています。試乗ができない販売店や、現車確認をためらわれるような対応をされた場合は、それ自体が一つの注意サインだと考えてください。
ここまでが、中古車選びの基本となる5つのポイントです。ここから先は、この5つの選び方を実際の店舗でより実践的に使っていただくための補足情報として、整備士目線の確認箇所、よくある失敗、判断の目安、販売店への質問例をご紹介します。
整備士なら中古車のここを見る

中古車を見るとき、私が特に気にしているのは、実は「年式」や「走行距離」ではありません。購入後にお金がかかりやすい部分、つまり「今は動いていても、近いうちに交換や修理が必要になりそうな部分」を優先して確認しています。
具体的には、エンジンを始動したときの音、アイドリングの安定性、変速時のショックの有無、ブレーキを踏んだときの効き方、タイヤの摩耗具合、そしてオイル漏れの有無、下廻りの錆などです。これらは車両価格には直接反映されにくい部分ですが、購入後にまとまった出費が発生しやすい項目でもあります。
たとえば、車両価格が相場より10万円ほど安い車があったとしても、購入後にタイヤ4本、バッテリー、ブレーキ関連の部品などの交換が重なって必要になれば、結果的に「安く買ったはずが、相場より高くついてしまった」ということになりかねません。中古車選びでは、車両価格そのものの安さだけでなく、購入後にどのくらいの費用がかかりそうかまで含めて考えることが大切だと感じています。
もちろん、これらの部分を専門的な検査機器なしに完全に見抜くことは、車に詳しくない方には難しいと思います。だからこそ、気になる音や違和感があれば「なんとなく変だ」で終わらせず、販売店に質問する、あるいは第三者機関の検査や整備士による点検を依頼するという行動につなげていただきたいと思います。すべてを自分で判断しようとせず、判断が難しい部分は専門家に確認するという姿勢が、結果的に失敗を防ぐことにつながります。
中古車選びでよくある失敗
ここまでご紹介したポイントを踏まえたうえで、実際に中古車選びでよく見られる失敗のパターンをご紹介します。「自分も同じことをしそうだ」と感じる項目があれば、購入前に一度立ち止まって確認していただければと思います。
① 車両価格だけで決めてしまう
相場より安いという理由だけで購入を決めてしまい、購入後にタイヤ、バッテリー、ブレーキ関連の部品などの交換時期が重なっていたことに気づく、というパターンです。車両価格だけでなく、購入後にかかりそうな費用まで含めて検討することが大切です。
② 走行距離だけで判断してしまう
「5万kmだから安心」「10万kmだから避けたほうがよい」と、走行距離の数字だけで判断してしまうパターンです。走行距離は使用状況の一部を示す情報にすぎず、整備の履歴とあわせて確認しなければ、実際の状態は分かりません。
③ 修復歴の有無だけを見て判断してしまう
「修復歴あり」という表示だけを見て購入を諦めてしまう、あるいは逆に「修復歴なし」という表示だけで安心してしまうパターンです。修復歴は、どこを、どのように修復したのかという内容まで確認しなければ、実際の状態を正しく判断することはできません。
④ 保証の「あり・なし」だけを見て判断してしまう
「保証あり」という表示だけで安心し、実際の対象部品や保証期間、免責事項を確認しないまま契約してしまうパターンです。同じ「保証あり」でも、内容によって実際に受けられる保証の範囲はまったく異なります。
⑤ 現車確認をせずに決めてしまう
写真や車両情報の記載内容だけで購入を決めてしまい、実際に現車を見ていれば気づけたはずの異音やにおい、内装の摩耗などを見落としてしまうパターンです。可能な限り、現車確認と試乗を行ってから判断することをおすすめします。
買っていい中古車・見送る中古車

ここまでさまざまな確認ポイントをお伝えしてきましたが、最後に「結局、どんな車なら買っていいのか」という点を整理しておきます。あくまで一般的な傾向としての整理になりますが、判断に迷ったときの目安として活用してください。
買ってもいいと判断しやすい中古車
- 整備記録が確認でき、継続的にメンテナンスされてきたことが分かる
- 修復歴がある場合も、修復した部位や方法を販売店が明確に説明できる
- エンジンやミッションの音、動きに大きな違和感がない
- タイヤやバッテリーなど消耗品の状態が把握できる
- 保証の対象部位や期間、免責事項が書面で確認できる
- 質問に対して販売店がその場で誠実に答えてくれる
私なら購入を慎重に考える中古車
- 修復内容について販売店が具体的に説明できない
- 整備履歴がほとんど分からない、記録簿が残っていない
- 試乗や現車確認の時点で明らかな異音や振動がある
- エンジンルームなどにオイル漏れが確認できる
- 試乗や現車確認について十分な説明がなく、確認を強く制限される
- 保証の対象範囲や条件の説明があいまいで、書面での確認ができない
ここに挙げた項目はあくまで判断の目安であり、これに当てはまるからといって必ず良い車、悪い車と断定できるものではありません。ただ、複数の項目が当てはまる場合は、購入前にもう一度立ち止まって確認していただくことをおすすめします。
販売店に聞いておきたい質問

実際に中古車を見に行った際、何を質問すればよいか分からないという方も多いと思います。ここでは、現地で販売店に聞いておくと判断材料が増える質問をいくつかご紹介します。
- これまでの整備記録は確認できますか
- 修復歴がある場合、どの部分をどのように修復していますか
- 納車前にはどこまで点検・整備を行いますか
- 保証は具体的にどの部品が対象になりますか
- 購入後、比較的早い時期に交換時期が近づいている部品はありますか
これらの質問に対して、その場で明確に答えられる、あるいは書面で確認させてもらえる販売店であれば、誠実に対応してくれる可能性が高いと考えられます。逆に、質問をはぐらかされたり、曖昧な返答しか得られなかったりする場合は、その対応自体を一つの判断材料として考えていただくとよいでしょう。
5つのポイントを整理した比較表

ここまでご紹介した5つのポイントについて、確認する目的と主な確認方法、注意したいサインを表にまとめました。実際に中古車を見に行く際の確認リストとして活用してください。
| 確認ポイント | 確認する目的 | 注意したいサイン |
|---|---|---|
| 走行距離・年式 | 使用状況の参考情報として把握する | 数字のわりに整備履歴が確認できない |
| 事故歴・修復歴 | 骨格部分の状態と安全性を確認する | 修復の内容や部位を販売店が説明できない |
| 保証・アフターサービス | 購入後のトラブル時の対応範囲を把握する | 対象部位や免責事項が書面で確認できない |
| 点検整備記録簿 | これまでのメンテナンス状況を把握する | 記録が長期間途切れている、記録簿自体がない |
| 試乗・現車確認 | 実際の乗り心地や状態を体感で確認する | 試乗や現車確認を渋られる、明らかな異音がある |
なお、この表はあくまで確認の目安であり、車種や年式、販売店の対応によって確認できる範囲は異なります。表に記載のない部分で気になる点があれば、遠慮せずに販売店に質問することをおすすめします。
よくある質問
Q. 「事故歴なし」と書いてあれば安心してよいのでしょうか。
「事故歴」と「修復歴」は異なる意味を持つ言葉であるため、「事故歴なし」という表示だけで完全に安心するのではなく、あわせて修復歴の有無や、車両状態に関する説明も確認することをおすすめします。表示の意味を正しく理解したうえで判断することが大切です。
Q. 修復歴がある車は絶対に避けたほうがよいのでしょうか。
修復歴があることが、そのまま「危険な車」であることを意味するわけではありません。修復の範囲や内容によって状態は大きく異なるため、一律に避けるべきとは言い切れないというのが実際のところです。ただし、修復の内容が明確に説明できない場合は、慎重に検討することをおすすめします。判断に迷う場合は、専門家の意見も参考にしてください。
Q. 販売店が「大丈夫ですよ」と言っている場合、信用してよいのでしょうか。
販売店の説明をそのまま信じるかどうかを一概にお答えすることはできませんが、口頭での説明だけで判断せず、修復歴や保証内容、整備記録などを書面で確認することをおすすめします。書面で裏付けが取れる情報が多いほど、安心して判断しやすくなります。
Q. 点検整備記録簿がない中古車は購入しないほうがよいのでしょうか。
記録簿がないからといって、必ずしも状態の悪い車とは限りません。ただし、記録簿があれば分かるはずの情報が分からない状態になるため、購入後の点検やメンテナンスをより丁寧に行う必要が出てきます。記録簿がない場合は、その旨を踏まえたうえで、試乗や現車確認をより慎重に行うことをおすすめします。
Q. 試乗ができない場合はどうすればよいですか。
試乗ができない事情は販売店によってさまざまですが、可能であれば現車を実際に見て、内外装の状態を自分の目で確認することをおすすめします。試乗も現車確認もできない状態での契約は、車の状態を十分に把握しないまま購入することになるため、慎重に検討していただきたいと考えています。
まとめ
中古車選びは、価格や見た目だけで判断してしまうと、購入後に思わぬトラブルにつながることがあります。今回ご紹介した5つのポイントと、整備士目線での確認箇所、そしてよくある失敗パターンを踏まえて、最後に押さえておきたい要点を整理します。
- 走行距離や年式だけに頼らず、整備の履歴もあわせて確認する
- 「事故歴」と「修復歴」は同じ意味ではないと理解したうえで確認する
- 保証内容とアフターサービスの範囲を書面で比較して選ぶ
- 点検整備記録簿の有無と内容をチェックする
- 試乗と現車確認を行い、異音やにおいなど実際の状態を自分の目で確かめる
- 車両価格の安さだけでなく、購入後にかかりそうな費用まで含めて考える
いずれのポイントも、一つだけで判断するのではなく、複数の情報をあわせて総合的に確認することが大切です。少しでも気になる点があれば、遠慮せずに販売店に質問し、納得したうえで契約に進むようにしてください。この記事が、皆さんの中古車選びの参考になれば幸いです。
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